なぜ少子高齢化は止まらない?消費税以上に重い“負担”の正体
大切なのは政治家と国民の覚悟
「一方で、非主流派の経済学であるMMTへの注目が高まっていることにも示唆されるように、世界全体を見渡せば、主流派も含めて財政政策を重視する傾向が、以前よりも確実に強まっています。
新型コロナウイルスへの対応に伴って各国が大規模な財政出動を行ったことも、そうした傾向を長期的に後押しすると思われます。そうした流れに上手く乗ることができれば、日本でも脱・緊縮財政の実現可能性が高まることでしょう。
ただし、そうした政治のリーダーシップを実現するには、有権者である国民が、積極財政を掲げる政治家や政党を支持することが必要です。国際的に見て異常ともいえる緊縮政策が日本で長年続いてきたのは、『改革』と称して緊縮的な政策を掲げる政治家を、多くの国民が支持してきた結果でもあるからです」
そして、「もちろん、社会保障政策に関して述べたように、何でもかんでも財政拡張をすれば良いというものではありません。ですが、一人でも多くの国民が緊縮財政の弊害を理解して、選挙権の行使も含め、それを改めるよう政治にはたらきかけるようになれば、その分だけ脱・緊縮財政の実現に近づくのではないでしょうか」と締めくくった。
10月31日に衆議院選挙の投票日を控えているが、今回島倉氏から聞いた話を念頭に入れ、選挙会場に足を運びたい。
<取材・文/望月悠木>
【島倉原】
1974年、愛知県生まれ。1997年、東京大学法学部卒業。株式会社アトリウム担当部長、セゾン投信株式会社取締役などを歴任。経済理論学会及び景気循環学会会員。現在は株式会社クレディセゾン主任研究員を務めながら、経済評論活動を行っている