コロナ禍で大学サークルが存続の危機に。飲み会、合宿も禁止で加入者激減
サークルはコロナ前から衰退していた?
ただ、そもそもサークルはコロナ前から衰退していたという厳しい現実もある。大学ジャーナリストである石渡嶺司氏にその理由を聞いた。
「2007年に大学設置基準が改正され、出席率の条件など単位の取得が厳しくなり、学生は授業をサボれなくなって、精力的にサークル活動を行う余裕がなくなりました。近年は学費が上がり、生活費を稼がなくてはならない学生が増え、アルバイトに忙しいという事情もある。SNSが発達して、大学以外の場でも友人がつくれるようになったのも影響しています」
こうした背景のなか、学生気質が変化したと指摘するのは、書籍『大学図鑑!』シリーズを監修するオバタカズユキ氏だ。
「勉強にウェートを置いた大学改革によって生まれたのは、皮肉なことに経産省が目標とするイノベーション人材とは真逆の、ただ与えられた課題をこなすことに精いっぱいな学生たちでした。むしろイノベーション人材を育成するためにこそサークルが必要です。サークルには、部室での暇つぶしなどムダと思えるような時間を過ごす土壌があって、そこで生まれる自由な発想はとても多い。ムダの経験こそ、大学生の特権なんです」
実際に、前出の大学職員は「組織や運営を面倒くさがる学生が増え、学生側から大学に管理を求めてくる。どんどん面倒を見る範囲が広くなり、こっちが戸惑っているくらいです」と漏らしていた。
大学が没個性化する可能性が
サークルは今後どうなっていくのか。
「各大学のサークル規模は縮小し、人不足とオンラインの発達から、インカレサークルが増えていくでしょう。そうなると大学の校風はどんどん希薄になり、大学が没個性化する可能性もある」(石渡氏)
「ある程度淘汰されるが、目的意識が高いサークルはオンライン活動でも生き残る。飲みサーなんかはつぶれても、すぐ似たようなものが生まれるでしょう」(オバタ氏)