SDGsを考える漫画4選。貧困をなくそう、ジェンダー平等実現etc.
ここ数年、ビジネスの場においても耳にすることが増えてきた「SDGs(持続可能な開発目標)」や「エシカル」といった言葉。何となく意味は知っていても、自分ゴトとしてじっくり考えてみるということはなかなかないのでは?
「SDGs」とは、2015年9月の国連サミットで採択された、「貧困をなくそう」「ジェンダー平等を実現しよう」など、2030年までに達成を目指す17の目標のことです。9月25日は国連でSDGsが採択された日(Global Goals Day)であり、その前後1週間は「SDGs週間」として、SDGsの推進と達成への意識を高める期間となっています。
2021年9月現在、国内最大級の品揃えである累計約120万冊のマンガや書籍を配信する、総合電子書籍ストア「ブックライブ」より、SDGsについてじっくり考えるきっかけになるマンガ4作品を紹介します。
1:「働きたいのに…」伝わる切実な思い
『健康で文化的な最低限度の生活』
作者名:柏木ハルコ
出版社:小学館
新卒公務員の主人公が配属されたのは、福祉事務所。彼女はここでケースワーカーという、生活保護に関わる仕事に就くことになります。
認知症の始まったおばあちゃんと小学生の孫の二人暮らしの家庭、心の病気を抱えている人、生活保護費を借金の返済に充て1日1食で暮らしている人、作中には様々な「生活保護を受けている人」たちが登場します。「働きたいのに働けない」「ほかに頼れるものが何もない」――マンガを通してそんな切実な思いが伝わってきます。
生活保護というのは日本国憲法第25条にある「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という国民の権利を保障するために、国が生活に困窮する国民に対して行う保護のことです。
先日、有名人が自身のYouTubeで生活保護を受けている人に対して差別的な発言をしたことが話題になりましたが、「生活保護」とはそもそも誰でもが有している生存権を保障するためにあるもの。その権利を脅かされている人がどんな思いで日々の暮らしを送っているのか、想像力を失ってはいけません。SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」への学びを得られる作品です。
2:もっと「性」は流動的でいい
『ボーイズ・ラン・ザ・ライオット』
作者名:学慶人
出版社:講談社
身体は女、心は男。主人公はトランスジェンダーの男子高校生です。誰にもそのことを打ち明けられず、学校の制服でスカートを強制されることに嫌気がさしていた頃、彼のクラスに派手な恰好をした留年生が現れ、「一緒にブランドをやろう」と話を持ち掛けるところから物語は始まります。
この数年で「ジェンダー」や「LGBTQ」という言葉もかなり浸透しましたが、性別だけでなく、見た目、年齢、肩書きなど、世の中にはまだまだ偏見や決めつけが多くあります。「男だから/女だから」に留まらず、「独身だから/既婚だから」「母親だから/父親だから」「子どもだから/大人だから」のような、世間の「〇〇だから」が気になって生きづらさを感じたことは誰にでもあるでしょう。
『ボーイズ・ラン・ザ・ライオット』には、もっと「性」は流動的でいい、自由でいい、人間とはもともとそういうものだから、という強いメッセージを感じます。SDGsの目標5に掲げられている「ジェンダー平等を実現しよう」への理解を深められるとともに、「自分の身近なところにある差別や偏見に気づき、それを変えていく」という、人としてあるべき態度を学べる作品です。