いきなり儲かる投資は可能か?より確実な投資法をプロに聞く
トレーディングは「短期・集中・単発」運用
ここで、トレーディング運用の特徴をまとめてみましょう。ある銘柄を買ったその日のうちに売却し、買い持ち状態を翌日に持ち越さない運用手法である「デイトレ(デイ・トレーデイング)」に代表されるように、トレーディングは「短期」勝負です。
また、トレーディングでは、特定の株式や円ドルなどの為替、暗号資産(仮想通貨)など単一あるいは少数の投資対象で勝負をかける「集中」が基本です。
さらに、トレーディングは相場の変動が収益の源泉ですから、政治的・経済的なイベントや事件・事故など相場が大きく動く時に単発的に取引を行います。相場が落ち着いて凪の状態にあるときはお休みです。このように、トレーディングには「短期・集中・単発」という特徴があります。
トレーディングは生活の質を悪化させる
「短期・集中・単発」型のトレーディングは投資ではなく、“投機”です。しかし、それを認識した上でも、「トレーディングは楽しいし、自分は勝てる」。そう思っている人もいるでしょう。
筆者が、トレーディングが有害だと考える理由は、単にそれが損をするリスクが高いからだけではありません。もっと悪いことに、それがクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)を悪化させるからです。
例えば、テスラ株の次に10倍になる株(テンバガー)を探すために必死にネットで情報を漁る、激しい相場のなかで売買するために職場からスマホで注文を出す……。このように、トレーディング型の運用を行うためには、常にマーケットをウォッチし、その変化に合わせて瞬時に判断を下す必要があります。ハラハラ、ドキドキ、常に市場の動向や株価が気になって、心が休まる暇もありません。
今が好調でトレーディングが楽しくても、いったん相場が暗転すれば、精神的に追い詰められ、大切にすべき本業や私生活にも影響が出てしまいます。投機で勝ち続ける、という実現不可能なことを追い求めれば、皆さんのクオリティ・オブ・ライフが低下することは確実なのです。