みずほ銀行、システム障害の原因特定できず…“甘すぎる対応”と、問題点を解説
4000億円を投じてシステム開発するも裏目に
同年に発生した東日本大震災への義援金が大量に振り込まれたためにサーバの処理が追い付かず、116万件の振り込みが未処理となったのです。みずほ銀行はさまざまな会社が開発した複雑怪奇なシステムの統合をあきらめ、新たなものに刷新する計画を立てました。
実は、みずほ銀行は統合した直後の2002年にも大規模なシステム障害を起こしています。そして、ちょうど同じ時期に東京UFJ銀行(現在の三菱UFJ銀行)と三井住友銀行も、みずほ銀行と似たシステム処理の遅延に襲われました。そして各銀行ともに対策を講じます。
東日本大震災で振り込みが殺到したのは他のメガバンクも同じでしたが、大規模なシステム障害に見舞われたのは、みずほ銀行だけでした。メンツは丸つぶれ。汚名返上とばかりに開発したのがMINORIでした。このシステムに4000億円を投じています。
しかし、6回目のシステム障害により、刷新したことが裏目に出てしまいました。なお、三菱UFJ銀行も三井住友銀行も、過去のシステムを継続的に利用する形をとっています。
MINORI担当人員を削減したみずほの甘さ
みずほ銀行が2021年6月15日に公表した「調査報告書」によると、システム開発部門であるみずほリサーチ&テクノロジーズでMINORIに従事していたIT関連の人材は、2018年3月末時点で1051名。それが2021年3月末に345名まで減少しました。
わずか2年で67%も関連する人員を削減しているのです。これほどの巨大システムであれば、開発やプロジェクトに携わった人員がどれほど重要か把握できるはずです。
また、みずほリサーチは2019年と2020年に2回にわたって組織再編を行い、故障統制の役割を担う部門が欠落した可能性が指摘されています。
システムに関わった人員を削減し、故障時の司令塔の役割を自ら失ったことが、「原因が特定できない」一因になっていることは間違いありません。これがブラックボックス化していると言われる所以(ゆえん)です。