モノが売れない時代に、売れている商品の共通点。重要なのは「感情的価値」
良好な関係を築く「絆徳」とは?
マーケティングでは、これを「モラルエンゲージメント」、日本語では「絆徳」(ばんとく)と呼んでいます。さて、絆徳(モラルエンゲージメント)とは何を意味するのでしょうか?これは、「相手に良いことをする。その結果、ずっと一緒にいられる」ということを意味しています。
人間関係や夫婦関係は、お互いが相手に良いことをすることによって円満になり、長続きします。企業とお客さまの関係性も同じで、お客さまに良いことをすれば、感情の結びつきが生まれて、商品が買われ続けて、リピート顧客が継続的な収益をもたらします。
絆とは、例えば、企業理念や取り組みへの共感であり、「応援したい」という気持ちです。徳とは道徳のことで、世のため人のためになる、とか、環境負荷が小さいことなどが挙げられます。
モラルエンゲージメント時代の4P
これからの時代は、4Pにおいても、「絆徳」(ばんとく)を踏まえることが大事です。Productは、単純に売れる商品を考えるのではなく、お客さまに使い続けてもらうための「感情的価値」を考える必要があります。求められているのは、機能などが良い商品ではありません。独自の視点で消費者に感情的に良いことを提供できる商品です。
Priceは、安い、高いといった単純な比較ではなく、「ここまでやってくれるなら買ったほうが得だ」と思うかどうかが重要。例えば、アフターフォローを充実させることなどによって、価格以上の価値を提供できるかどうかがポイントといえます。
Placeは、従来は売り場や流通を考えていましたが、今後はデジタル空間を前提に考える必要があるでしょう。SNSで口コミが生まれ、推薦や紹介によって商品が売れていく仕組みときっかけを作ることが求められています。
Promotionは、新規のお客さま獲得の宣伝から、リピートを増やし、継続課金となるサブスクリプション契約を増やし、会員制度やコミュニティなどに呼び込むための仕組みが必要になります。また、性能や安さといった特徴の訴求ではなく、その商品を手にすることによってどんな満足が得られるか、例えば、安心できる、ワクワクできる、自分へのご褒美として楽しめるといった「感情的価値」を伝えることが重要です。
これらを満たすことにより、モノとお金のやりとりにとどまっていた会社と消費者の関係性は、絆徳によってより深く結びつくことになるわけです。