タマホームが“コロナ不調の住宅業界”で好調な理由。反ワクチン報道の影響は
木材×住宅×海外の住友林業
住友林業は大手ハウスメーカーとして知られていますが、社名の通り木材関連の事業も展開しています。そもそも戦前の住友財閥の出資で始まった林業所が同社のルーツです。
現在は(1)木材建材事業(2020/3期の売上高比率20.2%)、(2)住宅・建築事業(同42.9%)、(3)海外住宅・不動産事業、(同36.2%)の3つを主事業としています。
同社の業績を見ていきたいところですが、これまで3月期決算としていたものが2020/12期から変更となったため2020/3期の前後に分けて考えてみます。
決算資料によると、売上高は2018年:1兆2221億円⇒2019年:1兆3088億円⇒2020年:1兆1040億円。そして、営業利益は2018年:530億円⇒2019年:492億円⇒2020年:513億円と推移しました。
2019/3期は国内の住宅需要と米国・東南アジアでの不動産開発が好調のため、主要3事業ともに増収を記録しましたが、建築資材の高騰や建材の製造コスト増加によって減益となりました。
海外住宅・不動産事業が驚異的な数字に
そしてコロナ禍の2020/12期は売上高8399億円、営業利益は475億円でした。決算期変更のため通期では比較できませんが、それぞれ前年の同期間と比較すると4.6%増収・24.0%増益と好調なようです。
国内の住宅需要が減少したため、(1)木材建材事業および(2)住宅・建築事業の事業は大幅な減収減益となった一方で、海外では過去最低水準の住宅ローンや政府による住宅補助金が需要を創出しました。
(3)海外住宅・不動産事業事業は前年同期比で売上高25.8%増、経常利益に至っては92.1%という驚異的な数字を示しています。2021/12期第1四半期も売上高17.7%増(2891億円)、営業利益103.5%増(189億円)と伸びが続いており、着実にコロナ禍から回復しています。同社の今後は海外へのシフトがカギとなるでしょう。
住宅メーカー4社の業績を比較してきましたが、いかがだったでしょうか。各社とも事業傾向がはっきり出ており、コロナ禍の業績に明暗を分けていました。
<TEXT/経済ライター 山口伸>