タマホームが“コロナ不調の住宅業界”で好調な理由。反ワクチン報道の影響は
コロナ禍でも拡大を続けるタマホーム
そして次はタマホームを見ていきましょう。同社はエネルギー事業や金融事業も展開していますが、(1)住宅事業と(2)不動産事業が収入の大部分を占めます。
住宅事業は注文住宅とリフォームを収入源とし、2021/5期は全体売上高の80.0%を占めます。同様に分譲マンションや賃貸を収入源とする不動産事業の比率は15.9%です。競合他社よりも住宅事業への依存度が高いのがタマホームの特徴です。
近年の業績を見ていきましょう。決算資料によると2018/5期から2021/5期までの売上高は2018年:1679億円⇒2019年:1868億円⇒2020年:2092億円⇒2021年:2180億円と拡大し続けました。
営業利益も2018年:46億円⇒2019年:73億円⇒2020年:98億円⇒2021年:109億円と伸びています。2019/5期の増収は規模拡大によるものです。
利益面では販管費が増えた住宅事業が減益となったものの、不動産事業が300%もの増益でした。2020/5期も規模拡大によって増収増益を記録しています。コロナ禍の2021/5期も他社が国内の住宅事業で苦しむ中、住宅事業が増収となりました。
スキャンダルの影響は出るのか…?
近年、そしてコロナ禍でタマホームの拡大を支えているのが「地域限定商品」です。現地の声をもとに地域別の気候・ニーズに合わせた商品で、タマホームの主力商品「大安心の家」よりもやや低めの価格設定になっています。需要動向を掴んでいること、そして低価格帯であることが人気の理由のようです。また、地域別に商品タイプを固定することで建材の仕入れコストを抑える狙いがあると思われます。
タマホームは今後も増収増益を見込んでいます。今回のスキャンダルによる影響が懸念されますが、いわゆるメーカーではないため業績への影響は限定的となりそうです。
ただし、長期では日本の人口が減少に転じてしまうため、競合他社のように海外へ進出しなければジリジリと規模を縮小することになるかもしれません。