宝くじ当選者は半年後どうなる?人間に「ネガティブ思考」が必要なワケ
一度の失敗が生死を分ける環境での価値観
あの怪しい影は猛獣ではないか? あの狼煙は敵の襲撃を知らせているのではないか? 仲間が冷たいのは裏切りの兆候ではないか?
微かな異変を見逃さなかった者ほど、後世に遺伝子を残せたのは間違いありません。原始の環境においては、ネガティブな情報を敏感に察し、その記憶を長く保てた者ほど“適応”でした。
他方でポジティブな情報には、ネガティブな情報ほど重みをつける理由がありません。たとえば「獲物が豊富な猟場があるが、そこでは過去にひとりだけ死者が出ている」ような状況では、その場での狩りを避けるのが無難でしょう。
獲物が取れなくてもしばらくは生きていけますが、もし命を落としたら取り返しがつきません。一度の失敗が生死を分ける環境では、危険を知らせる情報の価値のほうが格段に重かったのです。
<TEXT/サイエンスライター 鈴木 祐>