「毎月10万円の一律給付を」コロナ禍に“バラマキ”が必要な理由を専門家に聞く
数か月に1回給付金を一律で配布すべき
次に個人向けの現金給付についても一律の必要性を訴える。
「可能であれば毎月、毎月が難しいのであれば数か月に1回は10万円の給付金を全国民に一律で配布すべきです。菅政権が発表したような条件付きの給付策ですと、困窮している全ての人を救済することが難しく、手続きに手間取ってしまい、“今すぐに支援すべき人”を救えないリスクがあります。
なにより、現在の生活保護受給状況を鑑みれば、一律の現金給付にこだわることは必然。生活保護を利用する資格がある世帯が、実際に生活保護を受給している割合(捕捉率)は2割程度で、『生活保護バッシングを恐れている』『役所に問い合わせるも対応してもらえなかった』など、権利のある8割の人が生活保護を受給できていません。しかし、2020年に実施された10万円の現金給付の給付率は9割以上。一律配布することで、多くの人に現金が行き渡らせることができます」
「風俗従事者に給付金を出すな!」が的外れな理由
けれども、一律の現金給付に対する反対意見は少なくない。とりわけ「税金を納めていないから」という理由から、風俗従事者を始めとした“夜の仕事をしている人”に給付金が渡ることに激しい嫌悪感を抱く人もいる。
しかし、井上氏は「納税しているかどうかは、あくまで現行の税制度に欠陥があるため、現金給付と結びつけて考えるべきではありません」と一蹴。
「また、『富裕層にも給付するのか!?』といった声も寄せられますが、支援が必要のない個人だけでなく企業にも後々納税してもらえば良い。個人の場合、所得税は“経費を膨らませる”という逃げ道があるため、“資産税”の拡充が望ましいと思っています。一律現金給付を議論する際、富裕層を中心とした増税をセットに議論すれば、多くの人が抱いている不公平感や不満は解消されるでしょう。ただし、その増税も景気が過熱しインフレ気味になってからで構いません」