若者に増加「スマホ社会」が招く、脳疲労の恐ろしさ。記憶術のプロが警告
大丈夫?すぐに分かる「脳過労」危険度チェック
脳が疲労してくると、日常の業務や生活に直接的、間接的な症状が現れてきます。あなたはいかがですか? チェックしてみましょう。
【症状編】
□ 人の名前や商品名が、スッと思い出せないことがある
□ スマホに着信が来たと思ったら、思い違いだったことがある
□ 会話したことは覚えているが、内容が思い出せない
□ 何かをしようとして動いているときに、何をしに来たのかを忘れることがある
□ やる気が出ない
□ 判断力が低下したり、考えがまとまらない
□ 凡ミスが多い
□ イライラしたり怒りやすくなった
□ 睡眠不足、寝つきが悪い、夜中に目が覚める
□ 病院に行くほどではないが、ちょっと不調だ
それぞれ、チェックが3個以上ある人は要注意。脳疲労が進んでいる可能性が高いです。チェックが5個以上ある人は、日常の業務や生活に、すでに障害が出てきているのではないでしょうか。チェックが7個以上ある人は、すぐにでも何らかの対策を取ることをおすすめします。
【習慣編】
□ スマホは手の届く範囲に常にある
□ 数十秒の空き時間(TVのCM程度)があれば、スマホに手が伸びることがある
□ ボーっとする時間がない
□ 目が覚めたときに、ついスマホに手を伸ばしてしまう(夜中や朝)
□ スマホにメッセージが入っていないかと、心配になり気を取られる
□ スマホや鍵をどこに置いたかわからなくなって、探し回ることがある
□ 食事するときに、スマホを見ている
□ 何もしていない自分・人は、ダメだと思う
□ トイレや風呂に、スマホやタブレットを持ち込む
□ 寝る前にメッセージなどの着信がないか、最終確認したくなる
あなたの脳のキャパシティーに余裕がある時は、問題は生じません。しかし、症状編に挙げた項目のチェックが増えてきたら、習慣編に上がっている項目をひとつでもやめることで改善する可能性が高まります。
脳の活性化を促す再現性100%記憶術
本来は、脳疲労を軽減させることが大切です。とはいえ、そうは言っていられないあなたに、脳に最後のチカラを振り絞らせる3つのポイントをお教えしましょう。
【1. 集中する】
脳はシングルタスク……同時に2つのことを考えたり判断したりできません。ですから、2つのことを同時並行に作業するくらいなら、その時間を2等分して1つずつ“集中して”対応する方が正確に処理できます。
また、脳は必ずしも一瞬で集中状態に入れるわけではありません。ですから、作業を分断して交互にやるよりも、ひとかたまりの作業は継続してやり切る方が集中できるのです。
【2. 特徴を把握する】
一番の集中とも関連するのですが、脳は“まんべんなく”覚えることは苦手なのです。逆に、大人の記憶は関連付けの記憶とも言われていて、1つ思い出せるとそこから芋づる式に関連することを思い出せるという特徴があります。
以上のことから、会議や会話の内容や人の顔について「全部覚えよう」とするのではなく、何か1つの最重要なことや特徴を覚えようとするほうが、後で思い出せる可能性が飛躍的に高まります。例えば、会議や会話なら「一番のポイントは○○だった」とか、人の顔だったら「鼻の横にほくろがある○○さん」という具合です。
【3. 想起を反復する】
記憶というものは、記銘=記憶しようとしたときではなく、想起=思い出そうとしたときに深く記憶されます。ですから、「何度も覚える」のではなく「何度も思い出す」ようにしてください。
例えば、会議なら議事録をもう一度見直すのではなく、「会議の一番のポイントは何だったっけ?」と思い出してから、議事録で確認をする。人の顔と名前なら、「今日会った人は誰だったっけ? そうそう鼻の横にほくろのある○○さんだった」と、もう一度思い出すのです。
以上のことを、日頃より少し意識して取り組んで頂けるだけで、脳の活性化、そして脳疲労の軽減にもつながります。小さなことに思えるかもしれませんが、1つひとつの積み重ねも大きな予防効果を生み出すので、ぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか?
<TEXT/記憶術講師、脳力開発研究家 吉野邦昭>