サギ師が暗証番号を聞き出す驚きの“手口”とは?騙されないための秘訣も
組織的詐欺は日進月歩で巧妙になっています。コロナ禍で在宅率が高まるなか、特に気をつけたいのが、キャッシュカードをだまし取る手口。キャッシュカードだけでは、お金は引き出せませんので、詐欺犯はいかに暗証番号を聞き出すかに心を砕いているのです。
そして、現在多く発生しているのが「被害届を提出してください詐欺」。今回は実例を交えて、この手口に引っかからないための知恵を伝授したいと思います。
※本記事は書籍『サギ師が使う交渉に絶対負けない悪魔のロジック術』(イースト・プレス)の一部再編集したものです
キャッシュカードは切り込みや穴があっても使える
2021年4月に発生したキャッシュカードをだまし取る詐欺事件では、次のような手口が使われました。
まず「あなたのカードを再発行して、お金を引き出した人物がいたので逮捕しました」という電話がかかってきます。そして矢継ぎ早に「裁判所に被害届を提出しなければなりません」とまくし立てるのです。
突然の出来事に慌てる家人に対して「今から警察官をご自宅に向かわせます。その際、被害届を書いてもらいますが、こちらで代筆しますので、ご安心ください。そこにはカードの暗証番号を書き込む欄もあるので、カードをご準備の上、お待ちください」と電話口で待機させます。
その後、まもなくして訪れる偽警察官は被害届を書きながら、さも当然かのごとく暗証番号を聞き出し、「キャッシュカードは裁判所に提出します。そのために、使えないようにします」と、パンチで穴を空けます。
これまでは、ハサミでカードに切り込みを入れる形でしたが、最近ではパンチを使うようです。切り込みや穴があっても使えるということを知らない高齢者はまんまとカードを渡してしまい、現金が引き出されてしまいます。
相談させないよう電話をつなぎっぱなしに
この手の詐欺では、家人が偽の警察官がくるまでに、不審に思って誰かに相談して詐欺が発覚することがよくあります。それを防ぐために「手続きが終わるまで、電話を切らないように」と言って、周りに相談させないようにしているのです。
巧妙な点としては、被害届を書くフリをして、暗証番号を聞き出すことでしょう。カードが使えないと思わせるために、パンチで穴をあけて、裁判所に持っていくと話して、カードを持ち去る。周りに相談させないように、電話をつなぎっぱなしにさせておく……。
これは電話をかけた人物(かけ子)や、家に赴いた実行役(受け子)が考えたシナリオではありません。彼らにこの内容を教える、犯罪組織の上役がいます。ここからみえてくるのは、それぞれのパートを分担させることで、詐欺成功の効率をあげている点です。