内山理名、20代半ばで直面した“父の死”。自分を見失っていたような時期も
価値観を変えるきっかけになった「父の死」
――内山さんご自身について教えてください。20代前半で、『大奥』で連続ドラマに初主演され、『嫌われ松子の一生』『生徒諸君!』と主演ドラマが続きました。当時、仕事や生き方についてどんな思いを抱いていましたか?
内山:仕事への価値観がすごく変わった時期ですね。20代になって、交友関係も広がって、情報もたくさん入るようになったなかで、自分を見失っていたような時期がありました。そんなとき、20代前半で父が亡くなりました。
いままで当たり前だと感じていたことが、当たり前ではないことに気付き、そこから仕事に対しての意識も変わってきたように思います。
蜷川幸雄の千本ノックを受けて
――20代半ばには、蜷川幸雄さんの演出で舞台に進出されました。以前、蜷川さんにはとても影響を受けたとお話していました。
内山:そのときまではテレビや映画という映像のお仕事のみで、蜷川さんとご一緒したときに、「お前はテレビの芝居なんだよ」と言われました。女優をはじめて10年経っていたので、それまでの自分を否定されたように感じ、最初は苦痛でしたね。
――それでも厳しく言ってもらえたのは、振り返ってみれば有難いことだった?
内山:有難かったですね。ダメなところをたくさん教えていただきました。でも、本番が始まるとすごく誉めてくださって。「自分のいいところと悪いところを知っておけ」と言われました。「今、いい!」と言われたり「ダメだ!」と言われたりしたときに、「え、どこがですか?」と聞くと、「聞くな、自分で感じろ」と。
蜷川さんの演出は、千本ノックと言われていますが、噂通りでした!「はい次、はいもう1回」って、3時間くらいずっと。厳しかったですが、でもそこで「何がダメで、何がいいのか、ちゃんと自分で感じろ」と言われて、考えたことはよかったと思います。