汚部屋育ちでも東大合格「トイレも風呂も使えない」勉強法
プライベートな空間がなかった
――ハミ山さんの母親は、勝手に学校の宿題を全部やってしまったりしますが、働いていなかったんですか?
ハミ山:もともと会社員として働いていましたが、私を産んで専業主婦になり他に社会との繋がりもなかった。だから母も、私を通して褒められたかったんだと思います。
美術や作文の宿題だけでなく、例えば家庭科で刺繍を入れるという課題では、私にはできないような素晴らしい薔薇の刺繍を入れてくれてしまう。上手だねと先生や周りに褒められても自分でやっていないことがバレるのではとドキドキしていました。子供が宿題をお願いしてやる親御さんはいると思うんですが、「やらなくてもいいよ」と子供に言われてもやっちゃう。
――思春期になっても男の子と遊びに行ったりとかできなかったんじゃないですか?
ハミ山:仲良くなる異性がいても、逐一、母に詮索されるのでなかなか長くは続けられませんでした。汚部屋ではプライベートな空間がないので、電話も聞かれてしまう上に、携帯電話もパスワードを変えると怒られる。ちょっとでも家に帰るのが遅れると「誰と遊んでたの?!」ってなって、嘘ついても下手なのでバレちゃうんです。
自分の交友関係がほとんど筒抜けになり、その1つひとつに母から意見を言われるので面倒になって関係が疎遠になっていく…。大学でも社会人でもその繰り返しでした。
とにかく母親と会話が噛み合わなさ過ぎた
――そこで普通は母娘のバトルがありますよね?
ハミ山:もう、その時は話すのが面倒くさいってなっちゃったんです。とにかく会話が噛み合わない。言い争いができているうちはまだいいんです。会話が噛み合わなさ過ぎて、会話したくない。「わかったわかった」って言って、仲良くしている友人や交際相手ととりあえず絶縁することでその場をしのぐみたいな。結局、家にいる時間の方が長いので、ストレスを減らしたかったです。
――漫画の中で東大時代、交流プログラムで台湾に行くのを断念する話もありましたが、あれもそんな感じでしたよね?
ハミ山:同様のことはたびたびありました。「やってみたい」と伝えて話し合う、ということが難しくて、挑戦する前に諦めてしまう。あらゆることがそうでした。