森林浴で「モミジの木」を持ち去ったら犯罪?弁護士の意見は
暑い時期になると、森林浴に出かける人も多いでしょう。涼しい森の空気を浴びて、日々の疲れを解消、ストレス発散といきたいところですが、注意が必要。
7月4日の「毎日新聞」の報道によると、岐阜県が管理する保安林からモミジなどの樹木を持ち去ったとして、愛知県津島市議が森林法違反(森林窃盗)の疑いで書類送検されていました。
森に生えている草木や、木の実など記念につい持ち帰ってしまいそうですが、法律的に問題があるのでしょうか、パロス法律事務所の櫻町直樹弁護士に聞きました。
森の木を持ち帰ったら犯罪なのか?
「森林窃盗罪」というのは、「森林法」という法律に規定されている犯罪です。森林法197条には、次のように規定されています。
「森林においてその産物(人工を加えたものを含む)を窃取した者は、森林窃盗とし、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する」
ちなみに森林法には「森林」についての定義規定も置かれており、以下のようになっています。
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【森林法2条】
この法律において「森林」とは、左に掲げるものをいう。但し、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹を除く。
一 木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹
二 前号の土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地
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したがって、森林すなわち「木竹が集団して生育している土地」か、「木竹の集団的な生育に供される土地」において、竹木、樹皮、枝葉、土石や砂利などの「産物」を窃取した場合には、「森林窃盗罪」が成立する、ということになります。
窃盗場所が「保安林」だとどうなる?
なお、森林が今回のケースのように窃取場所が「保安林」(農林水産大臣が保安林として指定した森林)であったときは、刑罰が加重されており、「森林窃盗が保安林の区域内において犯したものであるときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」となります。
ところで、他人の物を窃取する行為については、刑法235条に「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」という規定があり、「窃盗罪」として処罰されます。
森林窃盗罪と窃盗罪では、なぜ刑罰の重さに差があるのでしょうか?