どれくらい滞納するとブラックリスト入りなのか。専門家に聞く「借金の基礎知識」
「バンドルカード」には要注意
一方で信用ブラックの人は比較的、買い物好きな傾向もあるそうで、ファミリーマートの消費者金融をはじめ、小口の貸付や後払い制度が増えた背景には彼らの消費を促す背景もあるらしい。特に小林氏が注視しているのが「バンドルカード(Visaのプリペイドカード)」だ。
「後払いって普通は翌月払いですが、バンドルカードの支払いは最大2か月後。金額は数万円程度ですが消費者金融の2~3倍ほどの金利で、極端な話、0歳でも100歳でも本人確認ができれば申し込める。
信用ブラックで借り先がなければ、こうした制度を利用することは当然考えられるし、彼らが後払い制度を利用した現金化業者の詐欺に遭う問題もあります」
立替払いや後払いも借金という認識を
借入が多くても返済能力が高ければ問題ないわけだが、仮に自分の返済能力を超えて、首が回らなくなった場合は、一人で抱えず誰かに相談することを勧める。
「親兄弟や親戚の支援を受けて、借金を立て替えてもらえれば、毎月の収入の中から支援者に返せるので、利息もないし、こんなありがたいことはない。複数の借金を一本化して金融機関から借り変える『おまとめローン』を利用する方法もあります。ただ、どうしても返せず、『もうだめだ』という気持ちが強いのであれば、信用ブラックになることを覚悟の上で債務整理する他ありません」
一方でバンドルカードには問題点も存在。
その後払いに信用情報による審査がないのは「お金を貸しているのではなく、立替払いをしている」という認識のためだが、実質的にはクレカの翌月一括払いも変わらない。審査の有無の違いに不公平感もあると指摘。
「立替払いは5万円から10万円前後と金額が低く、利用者にはとても便利なシステムで、信用情報の審査がないのでお金を借りている意識も低い。今後も利用者は増えるでしょう。
しかし、後払い制度を使い、経済を活性化させる発想では近い将来、問題が起きると思います。立替払いや後払いが事実上の貸金となれば、法的に信用情報による審査を求める議論が起きるのも、時間の問題かもしれません」
一見、安心感のある後払いサービスだが、注意して利用すべきなのは間違いなさそうだ。
<取材・文/伊藤綾>
【小林修】
お金の専門家。30年以上にわたって消費者金融を営む。日本最大級の借入専門サイト「借入のすべて」の運営、SNSなどで幅広いマネー知識を発信。
Twitter:@kobayashi30nen