ファミマが消費者金融に参入。借金苦の若者は増えるのか、専門家に聞く
ファミマが大きく潤うことは考えにくいが…
2018年のサークルK・サンクスとのブランド統合で、僅差でローソンを抜き、コンビニ業界第2位の地位についたファミマ。今回のファミマの消費者金融業への進出の狙いに関しては、ファミマの顧客の囲い込みや収益力の向上も指摘されている。
「融資額10万円の利息だけでファミマが大きく潤うことは考えにくいです。コンビニの買い物でそんな大金は使わないし、コンビニでFamiPayの残高が足りなくなるとしても、せいぜい数千円程度ですから。仮に1万円を『FamiPayローン』で借りても、利息は30日間でたった147円くらいです」
ただ、FamiPayアプリでのポイント還元などと絡め、「FamiPay翌月払い」を促進できれば当然、商品の購入によって店舗の売り上げに直接貢献することになる。
「仮にポイント還元キャンペーンなどがあれば、『とりあえず申し込もう』という若者は少なくないはず。自動融資だとオートチャージみたいな感じで、ほぼ借りている感覚もないと思います」
自己破産ラッシュの危惧は?
そんなハードルの低さへの懸念はあるものの、返済能力をチェックされることもあり、限度額10万円の「FamiPayローン」だけで自己破産ラッシュが起きることはない、というのが小林氏の見解だ。
「例えば友達に1万円借りて、お礼に1000円くらいのご飯をプラスでおごるとすると、実は120%くらいの金利計算になる。それなら大手消費者金融で1万円借りて、147円の利息を払うほうが本当はずっと安上がりです。
むしろ、私が気がかりなのはバンドルカードなどの無審査の後払いサービスや、信用情報の審査がゆるい『LINE Pay』の個人向けローンサービスなどが増えていること。こうしたサービスを併用した結果、自己破産とならないまでも、借金苦に陥る人は確かに増えるかもしれません」
ますます便利で、身近な存在になるカードローン。だが、くれぐれも“ご利用は計画的に”だと忘れてはいけない。
<取材・文/伊藤綾>
【小林修】
お金の専門家。30年以上にわたって消費者金融を営む。日本最大級の借入専門サイト「借入のすべて」の運営、SNSなどで幅広いマネー知識を発信。
Twitter:@kobayashi30nen