日本人の作品が1300万円で落札。仮想通貨とも違う新技術「NFT」の凄い中身
日本の大手ゲーム会社も目をつけた
アートだけではない。NFTの裾野はどんどん広がり始めている。
「NFTに強い関心を見せている業界がゲーム業界。日本では『ファイナルファンタジー』のスクウェア・エニックスがNFTコンテンツの開発を始めると発表しています」(ゲーム業界の関係者)
従来のオンラインゲームは、キャラクターやアイテムにいくら課金しても、運営側がサービスを終了してしまえばすべては水の泡になっていた。
だが、NFT化されたアイテムやキャラクターは保存され、ゲーム外での売買・交換が可能になる。そこに日本の大手ゲーム会社も目をつけたということは、業界全体の期待値の表れといっても過言ではないだろう。
「実際、すでに存在するNFTブロックチェーンゲームには、アイテムを消されたくない、もしくは転売して稼ぎたいというユーザーが多いようです。今後、漫画家など知的財産を保有する個人もしくは企業にとって、新たな商機になると思います。さらにデジタルデータでできた権利書を保全する用途など、さまざまな応用が期待されます」(河氏)
中古品転売でも作者に報酬が入る
NFTの普及によって期待がかかる分野のひとつが、デジタルコンテンツの2次流通市場の拡大だ。これまで制作者や権利保有者は、店頭など正規販売店、つまり1次流通市場で利益を確保する一方で、利益が還元されない転売や海賊版などを取り締まるために多大なコストを払ってきた。
NFTは権利を保護するだけでなく、2次流通市場で転売されるたびに、権利者にお金や報酬が入る仕組みづくりにも適している。デジタルデータを制作して生計を立てるクリエイターにとっては、新たな収益源を得る機会が増える朗報になる。
NFTのコンセプトは、デジタル空間に山のように積まれた個人情報の価値を高めてくれる可能性も秘めている。例えば近年、ポルノ女優が自身のヌードをNFT化して販売するという動きもでている。これは、ネット空間に漂う肖像権を保護し、さらには利益を享受できるようになり始めていることを意味する。NFT以前には考えられなかった新たな動きだ。