日本人の作品が1300万円で落札。仮想通貨とも違う新技術「NFT」の凄い中身
仮想通貨やデジタルアートに興味のない人も、近頃のニュースなどでNFTという言葉を聞いたことがあるだろう。この新しい技術でいったい、何ができるのか、わかりやすく解説する!
専門家に聞く、仮想通貨とどう違うのか
米国のアート・エンタメ業界を中心に最近、盛り上がりを見せるNFT。そもそも、なぜ・どのように登場したのか。日本を代表するブロックチェーンの専門家・楠正憲氏はこう説明する。
「NFTは、正確には『ERC721』という仮想通貨イーサリアムベースのトークン標準規格。概要が公表されたのは2018年頃。デジタルデータに非代替性を付与し、価値を保全するために考えられたブロックチェーン技術です」
<NFTってなに?>
「Non Fungible Token」(非代替性トークン)の略称。ブロックチェーン技術を用いて、複製・改ざんを限りなく不可能にしたデジタル資産および、その制作者や所有者などを特定・明示する認証技術を含む総称。デジタルデータの価値をリアルな”モノ”のように保全できる次世代技術。
その名を轟かすきっかけのひとつとなったのは、仮想通貨でバーチャル猫を育てるゲーム「クリプトキティズ」だ。ゲーム内で育てられたバーチャル猫の売買が約2000万円で成立したからだ。ゲーム内のキャラクターが、まるでリアルな動物を売買するように売れてしまったのである。
2021年に入り一気にバブルの様相に
今年に入り、NFTは一気にバブルの様相を呈し始めた。テック事情に詳しい「ロボティア」編集長の河鐘基氏は言う。
「象徴的なのは3月にテスラモーターズのCEOで、世界有数の富豪であるイーロン・マスク氏のNFT作品に約1億円の価値がついたこと。同時期に、ツイッター共同創業者兼CEOのジャック・ドーシー氏も、2006年の世界初のツイートをNFT化し、3億2000万円で落札されたのです」
NFTがバブルになった背景は、世界的なカネ余りと法定通貨に対する不安だ。現在、世界各国が新型コロナ対策で紙幣を刷り続けるなか、お金の価値が相対的に下落しつつある。NFTが注目される理由は、代替資産になりうるとして期待されているからだ。
「そこで人類史上、長らく代替資産として扱われてきたアートの分野でNFTとの相性がよいことがわかったのです」(河氏)
3月にアーティスト・BeepleのNFTアート作品が、デジタルアートとしては過去最高額となる約75億円で落札された。
また、世界的アーティスト・バンクシーの風刺作品「Morons」も、本人公認の下にオリジナルが焼かれ、デジタルデータをNFT化し、競売にかけることが決定。日本でもVRアーティスト・せきぐちあいみ氏の作品が、高額落札されたというニュースが話題となった。