急成長する紅茶市場。コカ・コーラが進める「脱・甘い紅茶」誕生秘話
「紅茶花伝=甘い」イメージを持つ人も多いが…
山腰氏は今後の紅茶市場の展開について「“飲み物の新たな楽しみ方”を求める人が増えるかどうかがキーになるのでは」と指摘する。
「例えばペットボトルの緑茶や麦茶を飲むときは喉の乾きを潤したいというニーズが大きいと思います。一方で紅茶は味わいや香りを楽しむことができること、飲むことでリラックスできることが大きな魅力です。これは喉の渇きを癒すとは別のアプローチです。
無糖ストレートティーはまだ発売したばかりなので、まずはしっかりと定着を図っていきます。無糖ストレートティーの定着と共に紅茶花伝全体のイメージ・ブランドを高めていくことが目標です」
紅茶花伝と言えば「ロイヤルミルクティー」がまず思い浮かぶ人も多いだろう。ロイヤルミルクティーは1995年の発売以来、ブランドのフラッグシップ製品として常に高い支持を得てきたロングセラー商品だが、一部では甘さを敬遠する声もあった。そういった既存のイメージの変えるにあたっては、消費者が知り得ない苦労もあったようだ。
「紅茶花伝のロイヤルミルクティーは、十数年もの間、独特の形状のボトルを採用し、また1995年の発売以来、デザインも大きくは変えていませんでした。その結果、ロイヤルミルクティー=上質なミルクティーというイメージでお客様に支持されてきましたが、飲んでいる方の味に対する満足度は非常に高いものの、飲んでいらっしゃらない方からは、味が濃そう、高級感はあるけど普段飲むにはちょっと手が伸びづらい感じ、という状況が長らく続いていました」
新デザインを試作するも、受け入れられず…
そんなロイヤルミルクティーにも、2019年にリニューアルを実施。現在は成長基調に転じているという。
「その後、新商品の増加や、カフェや自宅などで紅茶を飲む機会が増えたことも背景に、紅茶飲料市場が徐々に拡大していきました。そこで、2019年の9月に、上質なイメージはキープしながらも、より身近に感じて手に取っていただけるように、ボトル形状とデザインを大きく刷新したリニューアルを実施しました。その結果、新しくトライしていただいた方が増え、再び成長基調に転換しました」
しかし、このリニューアルも一筋縄ではいかなかったようだ。
「これまで構築してきたイメージに対する大きなチャレンジでしたが、変わらない部分と大きく変える部分の見極めが難しかったです。特にパッケージデザインは、白と青以外の色を使ったデザインも考え、新しいデザインによって試してみたくなるかどうか検証しましたが、今飲んでいるお客様からは事前の調査の結果、まったく受け入れられませんでした」
この過程から、デザインのリニューアルには「紅茶花伝らしさ」が重要であると気づかされたという。