LINEの情報漏洩リスク「中国の法律」を知るとわかる本当の恐ろしさ
通信アプリ大手のLINE株式会社は3月23日、「LINE」利用者の個人情報が中国からアクセス可能な状態になっている件で記者会見を行った。今後は中国での業務を完全に終了し、韓国で保存しているデータについても日本に移転することを明らかにした。
企業に求められる危機管理意識
国内で約8600万人(2021年3月時点)が利用し、若い世代であれば使っていない人を見つけるほうが難しいほど社会に浸透しているLINE。最近では友人や知り合いの電話番号を登録すらしていない人も多い。
今回明らかになった事実に衝撃を受けている人が大半だろう。筆者も数年前に国際会議に出席すべく香港に1か月ほど滞在していたが、Wi-Fiが通じるホテルではLINEで日本や海外とやり取りをしていた。中国本土が目の前にあるにもかかわらず、今思えば身が震える思いがする。
一般ユーザーとしては今後のLINEの防止策に期待するしかないのだが、我々はリスクが身近なところに潜んでいることを十分に理解しておく必要がある。
有害コンテンツへの対策を強化
ネットやSNSが世界的に普及するようになってからというもの、イスラム過激派が掲げる過激思想の影響を受けた若者による銃器やナイフ、トラックなどを使ったテロが次々に発生。また、新型コロナウイルスの感染拡大により、欧米諸国ではロックダウンで自宅での生活を余儀なくされた若者らが、ネット上で極右過激派と接点を持つケースも増えている。
そのようななか、LINEは2020年8月3日にユーザーの安全性向上を目的に有害なコンテンツに対する対策を強化していくと発表。同日配信されたリリースにも「昨今、社会的な混乱を招いたり、生命・身体・財産を害したりする情報、テロリズムや暴力的な過激主義につながる有害な情報などが問題視されて」と記されており、安全保障リスクを考慮すれば、こういった防止策を強化していくことは自然な流れに思える。