挫折しがちな英語学習を克服。世界5億人が使う「無料アプリの秘密」を日本事業責任者に聞く
日本人が英語を学ぶ敷居を下げたい
9歳から15歳まで父親の仕事の都合でアメリカに住んでいた水谷氏は2011年、ミクシィに入社。2018年1月に「17LIVE」を運営する17LIVE株式会社へ転職し、2020年8月からDuolingo社に籍を置いている。
「2014年には自分たちで広告会社を立ち上げ、『モンスターストライク』の北米展開のマーケティングを業務委託で担当しました。日米を行き来していた当時、さまざまな人たちと仕事していたなかで、グローバルでの日本のプレゼンス低下を肌で感じましたね」
日本でのサービス開始にあたり、Duolingoのスタッフからビジネス特化型SNS「Linkedin」で直接連絡が来たそうだが、水谷氏が惹かれた背景には、その当時の経験も大きいようだ。
「仕事力という面では日本人も全然負けていないし、むしろ優秀で。その違いは英語を話せるかどうかに尽きると感じました。ある意味、日本では英語を学ぶ敷居が高いんですが、この機会損失はすごくもったいない。Duolingoというプロダクトならその敷居を下げられますし、英語を習得し、世界で活躍する日本人が増えるきっかけになると考えたんです」
日本事業を1人で支える苦労も
Duolingo社の社員はグローバルでも375人程。日本での事業は水谷氏が1人で担っており、入社してからまだ他の社員と誰とも会ったことがないそうだ。また、本社からの期待値が高いこともあって、上手くいかなければ全て自分の責任という非常に大きなプレッシャーも感じていたという。
「物理的に離れていても他のメンバーとコネクトできる社内プログラムに助けられました。また、当初は思い通りに動けず、数字も伸び悩み苦戦していましたが、現在はキャンペーンの成果もあって、会員数は上昇傾向にあり、なんとか軌道に乗ってきたところです」
「まずは自分でやってみる姿勢が大切なんです」と話す水谷氏。最後にこれからの働き方において意識することについて聞いた。
「ミクシィも17LIVEもいろんな経験をさせてくれる企業で。私個人は新しいチャレンジに物怖じしないように意識していましたね。大きなことから小さなことまでそうです。結局、自分で体験しないと自分の言葉でその分野について語ることができないし、能力として伸びていかない。
国内でDuolingoを立ち上げる際の戦略構築もほとんど自力でできるようになっていましたが、振り返ってみると、それが “人材”として転職市場に放り込まれた時の協力な武器になるのかなと思います」
<取材・文/伊藤綾>