VAIOは分離、レグザは中国資本に。意外と知らない“家電ブランド”の現在
かつて世界を席巻したメイド・イン・ジャパン。日本の家電品は最強のブランドとして、盛んに輸出された。日本の輸出が多すぎるとして、アメリカ人との間で問題になった「日米貿易摩擦」は、もうかなり過去の話である。
2000年以降、家電業界も大きく再編が進んだ。そうなると、製品ブランドが消滅していたり、以前とは別のメーカーの傘下に移ったというのもよくある。コロナ禍の在宅ワークでノートPCの売上が好調な今、かつて存在した日本の家電ブランドを懐かしみつつ、それぞれが現在どうなっているのかを整理したい。
ソニーの名ブランド「VAIO」の現在
Windowsパソコンの高級機として知られていたのが、ソニーが手掛けた「VAIO」シリーズである。スペックと比べて割高だったが、デザインに優れていることから「VAIOノート」に人気が集まった。とりわけVAIOノートの超小型モデルは挑戦的な構成で、後に世界的ベストセラーになるAppleのMacBook Airを先取りしていた。
そんなソニーだったが、赤字を理由に2014年にPC事業から撤退した。日系メーカーのPCブランドが続々と消え去っていった時代である。しかしVAIOブランドは「VAIO株式会社」という新会社としてソニーから分離され、存続することとなった。
現在のラインナップはすべてノート型で、「高級機VAIO」らしく、超・強気の価格帯に絞った。かつての「VAIO type C1」や「type U」のように挑戦的な構成ではないが、国内工場ならではの工作精度の高さをアピールしている。
新生VAIOに関しては、法人向けの販路が強いことも報じられた。価格帯から見て、市場でのライバルはAppleのMacシリーズに思えるが、ビジネスシーンではWindowsノートが必要になる機会もまだまだ多いのである。
東芝「レグザ」は中国資本に
東芝の高性能テレビといえば、「レグザ(REGZA)」シリーズとして知られている。このブランドは消滅していないが、その背景にある資本はいまや中国のハイセンス社だ。
アナログ放送の停波をきっかけに、日系各メーカーのテレビ事業はどこも苦境に立たされた。地デジ移行は“需要の先食い”となり、その後には値下げ競争が控えていたのだ。
現在のところ「東芝レグザ」のブランドで販売されているが、レグザの技術力は買収元のハイセンス社に吸収された。たとえばデジタル映像の画質を向上させる「レグザエンジン」は、レグザとは別系統のハイセンスブランドの液晶テレビにも搭載されている。
日本国内では知名度の劣るハイセンスだが、エントリーモデルにも東芝の培った技術が応用されており、お買い得なブランドになっていると言えるだろう。