タワマンには2種類ある!? いつか住みたい人のための基礎知識
空高く見上げるタワーマンション。日本での歴史は古くなく、ここ15年で一気に増えました。
このタワーマンション、すべてが“高級マンション”だと思っている方が多いと思いますが、実は違います。
タワーマンションの本質は建物の形状よりも、「大規模な集合住宅」です。敷地から上に伸びるか(タワマン)、それとも横に伸びるか(敷地内に多棟ある団地形状マンション)の違いでしかありません。
タワーマンションには2パターンある! そのルーツは…
実は、タワーマンションの進化系統は2パターンあります。
ひとつは、駅前1等地の商業地区に空きが出たり再開発が行われたりして限りある敷地を有効に使うために、高く上に伸ばしたマンション。
もうひとつは、もともと準工業地域・工業地域にあった大きな工場が移転し、新しい街づくりとして大規模なタワー+公開空地(こうかいくうち)(※1)として建てられたマンション。
この2つは似て非なるものです。
すなわち、前者の特徴が「駅から近い・利便性重視・従来の駅前市街地など喧騒と同居・駅や市、区を象徴するランドマークタワー・地権者住戸が多い・ワンルームや1L/2LDKを多く含む単身、DINKS(※2)向け間取りがメイン」。
一方で、後者は「大規模住宅・一体開発によるトータルコンセプト・ファミリー移住・地権者住戸なし・コミュニティ形成・2L/3LDKの家族持ち向け間取りがメイン」などとなるでしょう。
※1…オープンスペースの一種。建築基準法の総合設計制度で、開発プロジェクトの対象敷地に設けられた空地のうち、一般に開放され自由に通行または利用できる区域
※2…共働きで子供を意識的に作らない、持たない夫婦のこと
一般的に想像されるタワーマンションはどっち?
もう、おわかりですね。
特に前者はいわゆる高級マンションと言われることが多く、単身者や若い共働き世帯のほか、ファミリー向け間取りには地域の戸建お金持ちが多く移住してくるマンションです。
もともと駅から近い場所にお店や住宅を持っている人(地権者)も入居するので、街の歴史の連続性がある程度保たれます。
後者はタワーの形は取っているものの実際はサラリーマン世帯などがメインの入居層となる、通常のファミリーマンションです。
工場跡地は、大きい区画に数本のタワーマンションという超大規模開発も多く、広々とした敷地には元々住んでいる人はいません。それゆえ、イチから街の歴史を作っていくことになります。
もちろん、後者でも最上階付近には特別仕様で天井が高かったり、部屋の中に階段があるメゾネットタイプなど、億ションが含まれる事例も多いのでスパッと分かれるものではないのですが、物件の成り立ちは物件のコンセプトを左右します。