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夫が墜落事故死。専業主婦からフジテレビ管理職になった私が「若者に伝えたいこと」

ビジネス

子育てに集中する期間にやること

 今までは出張もこなせたのに、お迎えのために思うように仕事ができないとか、子どもの世話でくたくたでファッショナブルに装う余裕もないなど、ワーキングマザーゆえのジレンマもたくさんあるでしょう。

 でも、その状態が一生涯続くわけではないですし、これからは70代以降もキャリアが続く時代。今、30代だとしたら、その時期の3年、5年なんて長くないと思いませんか?

 私が伝えたい3つ目は、もっと長いスパンでキャリアを考えてみる、ということです。思い切って「今は子どもにエネルギーを注ぐ」と決めてもいいと思うんです。女性の能力を長期スパンで活かす経営者も増えていますし、今後はオンラインが当たり前になってフレキシブルに働きやすくなっていくはずですから。

 ただ、仕事の量はこなせなくても、思いついたアイディアを発信するとか、自分を表現する努力を続けることが、その後のキャリアにつながっていくということは覚えておいてほしいです。特に子どもを通じたコミュニティはコンシューマーに近いので、商品開発やコンテンツ開発などにも生かせる貴重な情報だということを、女性だけでなく、男性も含めた会社全体で理解し合えるといいですよね。

幸せな結婚をしても頼れるのは自分

結婚

 最近、「Clubhouse(クラブハウス)」で働く女性や子育て中の女性ともトークを楽しんでいるのですが、さまざまなことに問題意識を持ち、行動していて頼もしいです。一方で「結婚して家庭に入りたい」という女性は今でも一定数いるそうですね

 昔の私にもそういう気持ちはあったので、女性が誰かに頼りたいと思うことは否定しません。でも、どんな裕福な相手と結婚しても、やっぱり人生って色々なことが起こるもの。私のようにある日突然、夫が亡くなるかもしれません。

 それに、息子たちも自立した今、たくさんの人と繋がっているけれど「結局、人は1人で生まれて、1人で死んでいくんだ」とリアルに感じることが増えていて。「頼れるのは自分だけ」という思いがますます強くなっているんです。だから、女性には1人で生きていく力を身につけてほしい。お金を得る手段を持つことって自信につながるし、自分で決断して人生を決める権利を持つことにもつながりますから。

 社員や派遣社員でなくても、稼ぐ金額が少なくてもいいんです。お菓子を作ってネットで販売してみるなど、得意なことを活かしてみてください。自分のスキルやキャリアを活かしてお金を生み、それを継続していくことが大切です。

 もし、これから何か始めるのだとしたら、まずはコミュニケーション能力とデジタルスキルを高めること、そして、1分以内で自分を最大限表現するプレゼン能力を身につけておくことをオススメしたいですね

<TEXT/子育てアドバイザー 入江のぶこ>

東京都生まれ。大学卒業後、フジテレビ報道記者の入江敏彦氏と結婚。1994年12月、移住先のカイロで小型飛行機が墜落し、乗っていた入江氏が死亡。帰国後、フジテレビに就職。バラエティ制作、フジテレビキッズなどを担当。女性部長職としてマネジメントも行う。2017年7月に退職後、東京都議会議員選挙に出馬、港区でトップ当選を果たす。一般社団法人グラミン日本アドバイザリーボード、東京都交響楽団評議員。著書に『自ら学ぶ子どもに育てる 息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術』(あさ出版)がある

自ら学ぶ子どもに育てる 息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術

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夫の突然の事故死――。6歳の長男、生後11カ月の次男を育てるワーキングマザーとなった著者は、2人を東大に現役合格させた。その実現のための工夫、努力、葛藤とは?

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