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夫が墜落事故死。専業主婦からフジテレビ管理職になった私が「若者に伝えたいこと」

ビジネス

自分の仕事をしながら続けてほしいこと

 入社後は、バラエティ制作の部署や子ども向け番組を制作するフジテレビKIDSなどで、子育て経験を生かした企画などを積極的に提案しました。提案はそういうクリエイティブなことだけじゃありません。当時は番組の権利に関する契約書が手書きの台帳で管理されていたので、Excelで検索できるように作り直したりもしました。このデータベースは今でもバージョンアップしながら使われているそうです。

 こうした経験から私が伝えたい1つ目は、自分に与えられた仕事は100%以上の力で取り組んで成果を出すということ。それと同時に自分にしかできない提案を続けることが、キャリアにつながるということです。

 もちろん、提案したままで終わった企画もたくさんありましたが、気にしませんでした。今は職場のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいますから、コロナ禍の今は、Zoomを使いやすくする方法やテレワークをやりやすくするツールのように、当事者ならではの提案ができるんじゃないでしょうか?

子どもとの時間は1日10分でも大丈夫

子供 教育

 2つ目に伝えたいのは、特に働く女性に向けてのメッセージですが、忙しい中で子どもと向き合う方法です。夫の死後、フジテレビで働くことが決まった時、まずベビーシッターさんやハウスキーパーさんを探したんです。お金は大変だけど、子どもはいつか成長しますから。仕事、そして息子たちとの濃密な時間を優先するための投資でした。

「とにかく時間がない」というワーキングマザーは多いはず。でも1日10分でいいんです。私も「この時間は子どもに集中する」と決めたら、携帯の電源を切って、一緒に本を読んだり、遊んだりして過ごしていました

 その時間は常に笑顔で、息子たちをいい気分にさせることを心がけたし、息子たちも心から甘えることができていたんじゃないかな。私にとっても、ハードな仕事から離れてホッとできる時間でした。

 私の著書の中で、社会人になった息子たちが「いかに親が一生懸命働いているかは伝わっていた」「母が自己実現してくれていることが、自分にとってもよかった」と書いてくれているので、関わる時間は短くても、思いはしっかりと伝わっていたんでしょうね。

自ら学ぶ子どもに育てる 息子2人が東大に現役合格した、ワーキングマザーの子育て術

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夫の突然の事故死――。6歳の長男、生後11カ月の次男を育てるワーキングマザーとなった著者は、2人を東大に現役合格させた。その実現のための工夫、努力、葛藤とは?

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