飲食未経験から“ほぼ独学”で「食べログ百名店」のカレー屋になった元営業マンの哲学
「味以外」を変えたことが成功の足掛かりに
安川:味もそうなのかもしれないし、それ以外のところもそうだったと思います。飲食の経験が全くなかったし、飲食の考え方やモノを売る方程式とかを知らずに始めちゃったんで。飲食を長くやっている人からすれば当たり前のことができない。できないというよりも知らない。あの時期は人には言えないような苦労を本当に山ほどしました。
――しかし凄いのはここから。2019年、2020年、食べログ百名店に2年連続で選ばれるなど、今では飯田橋を代表するカレー店になりました。きっかけはあったんですか?
安川:1つ挙げるとすればある時からカレーの出し方を変えてみたんです。上手くいかない時期に相談した人が1人いまして、その方にアドバイスをもらいながら色々変えていったんですね。
具体的には盛りつけ方、価格設定、お客さんへのアピール方法をそれぞれ変えてみたり。カレーのベースは一緒なんですけど、ガラッと変えたのはホントそこ。すると如実にお客さんの入りが増え出したんです!
食べログやSNSの書き込みも。2年間鳴かず飛ばずだったのは、やっぱり味以外の部分でもお客さんに響いていなかったのかなって今になっては思います。
早く提供することを心がけている
――お店を運営される上で、大事にしていることはありますか?
安川:会社員が多いエリアでお店を出してみようと考えていて、それで飯田橋にお店を構えることになったんですね。サラリーマンは時間で管理されていて、昼休みも制限されているんです。いくら美味しくても店に入ってから出てくるまでに時間がかかったら食べることができない。
なので、商品(カレー)のクオリティは維持しながら、提供までの時間をいかに短くするかを心がけています。今は1皿のカレーを仕上げるのに1分かかるか、かからないかを目標にやっています。
あと、いかに行列にならないようにするかも大事にしている部分です。“行列の美学”とか“売り切れの美学”とかもあるんですよ。でも、それってお客さんにとっていいことなのかなって思っちゃうんです。
行列を作ること以上に列を短くすることは実はかなり大変なんですよね。イメージが上がったり、「取り上げられるチャンスがあるなら並ばせちゃえばいいんだよ」っていう人もいるんです。でも来てくれるお客さんはそれを望んでないんじゃないかなと思うんでやらないです。
ただ、週末や祭日の特別営業でワンオペの時はかなりお待たせしちゃう時はあるんですけどね。ほんと申し訳ない……って思ってます。その代わり、全ての方に最高の一杯を出せるよう頑張ってます。