東京五輪中止の損失は4.5兆円。それでも「日本経済への影響は大きくない」と言える理由
開催まですでに半年を切った東京オリンピック・パラリンピック。しかし、現状では平和の祭典が世界からの祝福を受けて開かれる雰囲気はない。
自身の舌禍によって森喜朗氏が辞任した東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会の会長の後任は、2021年2月18日に橋本聖子氏が受諾した。
このようにいまだに開催の可否すらも明らかにならず、また国内での問題も発生しているオリンピック。実際のところ、開催するメリットはどの程度あるのだろうか。ここでは、経済的な観点からのオリンピック開催と中止のそれぞれの影響を紹介したい。
開催延期によるスポンサー企業への影響は
株式会社森経営コンサルティング代表で、経営コンサルタントの森泰一郎氏によると、オリンピックに関連する業種は大きく2つに分けられるという。
「ひとつは飲料や家電、旅行などの“BtoC企業”が中心となるオリンピックのスポンサー企業です」
オリンピックには多くの企業がスポンサーとして名を連ねている。方向性が定まらない現状にさぞ打撃も大きいだろうと思いきや、損失が大きな企業は少ないという見解のようだ。
「仮に延期されることで用意した製品が古くなってしまったり、パッケージを入れ替えたりといった追加のコストが考えられますが、実は(受ける影響は)限定的だと考えられます」
インバウンド需要が消失する可能性
スポンサー企業の他に、オリンピックでの好影響を期待していた業種として森氏があげたのが「オリンピックに関連した需要を取り込む予定だった企業」だ。そして、こういった企業のほうが大きなダメージを負うという。
「ここにはインバウンド需要を見込んでいたホテルや飲食店、お土産メーカーなどが当てはまります。コロナで大きな影響を受けているインバウンド需要ですが、オリンピックが開催されない場合、これまで以上に倒産が増加する可能性があります」