ギネス認定のチョコ菓子「ポッキー」誕生秘話と、日の目を見なかった味
ビスケットやクッキー、チョコレート、せんべいなど数えきれないほどの商品が並ぶなか、江崎グリコの「ポッキー」は定番中の定番として知られるチョコレート菓子だ。三代目J Soul Brothersメンバーの「シェアハピダンス」も話題となった。
今回は江崎グリコ株式会社 ポッキー企画グループの槌田(つちだ)智子氏に、ロングセラーの理由や日頃の商品開発で心がけていることについて話を聞いた。
棒状チョコレートが生まれた背景
ポッキーは1966年に世界初の棒状チョコレートとして発売以来、半世紀以上にわたって愛されてきた。誰もが知るロングセラー商品として知られているが、実は誕生の裏には兄弟分にあたる「プリッツ」の影響が大きいかった。
1963年に江崎グリコが発売したプリッツ。子ども向けのおやつとして好評を得ていたが、一方でチョコレート業界は板チョコ全盛の時代だった。江崎グリコは板チョコレートブランドでは後発だったため、苦戦していた。
「そこで、プリッツにチョコレートをかけてみたら面白いというアイディアに辿りつきました。当初のテストセール時は、てくてく歩きながら食べるチョコとして『チョコテック』という名前で発売しましたが、よりおいしく、商品特徴が分かることから、食音を意識した『ポッキー』にしました」
「手が汚れる」課題克服のために
ポッキーは1966年に一部地域から販売をスタート。1967年には京都・大阪・神戸の京阪神地区へ、翌年からは全国へと販路を拡大していった。好調なスタートの背景に「手を汚さずに片手でチョコが食べられるのが強み」と槌田氏は話す。
「棒状のプリッツに、持ち手となる部分だけチョコをまぶさないポッキーは、真新しい商品として話題を呼びました。ただ、商品開発は苦労したと聞いています。手が汚れるという課題を克服するため、1本、1本を銀紙で巻く案もあったのですが、生産効率や包装コストなどを考えると非現実的でした。
知恵を絞った結果、全体にチョコをかけず、一部を残してしまえばいいとなったことで、商品化の目処が立ったんです」