根深い「アスリートの性的画像」問題。盗撮でも罪に問えないのはなぜか
一般人がどう思うかで「性的な意図」を判断
競技中のアスリートの写真であれば、そこに性的な意図があるかどうか判別が難しそうです。意図したか否かを判断する基準はどこにあるのでしょうか。
「盗撮等の場合で、性的な意図で撮影されたかどうか自体が直接問題になることはあまり考えにくいです。あるとすれば、性的な写真が拡散されたことによる名誉棄損の成立の有無が裁判で問題になった場合です。
名誉が棄損されているかどうかは、『一般読者の普通の注意と読み方』において判断されます。つまり、撮影者が性的意図ではないと言い張った場合でも、その写真を一般人が普通に見たらどう思うかという基準で判断されるということです」
その写真や表現が掲載されたメディア媒体などを考慮し、最終的には一般読者を基準に、性的意味の有無が判断されるようです。
ボカシが入っていても特定できれば…
また、流出拡散された性的な写真に被写体の顔が映っていない場合や、顔にボカシが入っていた場合、撮影された本人は撮影者を訴えることは可能なのでしょうか。
「その写真が特定人だと本当にわからなければ、名誉棄損が成立することはありません。刑事上も民事上も、名誉棄損は『特定人の名誉が毀損(棄損)された場合』に成立するためです。
つまりは、誰かわからない写真を拡散されても、特定人の名誉が棄損されたとはいえない、ということです。ただし服装や体型、その他周りの状況から特定人とわかれば、名誉棄損が成立する余地があります。例えば、顔が映っていなくてもユニフォームなどから『あの人に間違いない』といえるような写真であれば、名誉棄損が成立する余地があるのです」