ゲイカップルが“代理母出産”で子どもを授かるまで「昔は結婚願望もなかった」
サロガシー(代理母出産)のプロセス
――海外への移住、結婚を経て、2人はサロガシーでお子さんを授かったわけですけど、そのプロセスを簡単に説明してもらえたらと思います。
みっつん:サロガシーには、トラディショナル・サロガシー(人工授精型)とジェステイショナル・サロガシー(体外受精型)の2種類があります。この2つの違いは卵子の出どころで、トラディショナル・サロガシーは代理母の卵子を使い、ジェステイショナル・サロガシーは代理母と卵子提供者が別の人物になります。僕たちが選んだ方法は後者です。
大まかに説明すると、まず初めにIVF(体外受精)クリニック選びと卵子提供者選び、代理母とのマッチングがあります。それから代理母、卵子提供者との法的な契約書(同意書)の作成、メディカルスクリーニングといって代理母、卵子提供者、精子を提供する生物学的な父親になる人の三者を対象にした検査をクリニックで行います。IVFが成功すると受精卵(胚)を代理母の子宮に移植、それから妊娠、出産という流れになります。
スウェーデンでは幼稚園から“ジェンダー教育”
――これまで暮らしてきた国のLGBTQや同性婚パートナーシップ事情について聞かせてください。
みっつん:歴史的な流れでいうと、イギリスとスウェーデンではまず同性間のパートナーシップを法律で認めて、その後に結婚を認めるといった流れがあります。イギリスでは2014年から一部の地域から徐々に同性婚が認められるようになり、スウェーデンは2009年から同性婚が認められるようになったんですけど、それ以前から両国ともに同性間の子育てが法的に認められています。
今暮らしているスウェーデンだと、幼稚園の頃に受ける就学前教育の時点で、ジェンダーのことや同性間で交際する人もいることが教えられています。ごく一部、宗教的な背景もあって同性間の結婚を認めたくないという人を除いて、国全体で同性愛はあって当然という感覚が行き渡っているんですよね。
――LGBTQの存在が身近なものとして認識されているということですね。
みっつん:今僕たちが暮らしているのが、スウェーデンのなかでは比較的小さい人口7万5000人くらいの地方都市です。ここだとLGBTQと実際に接した経験がある人は少ない気がします。LGBTQは都会に集まりやすい傾向にあるので。でも、だからといって差別が起こるということはほぼありません。法律によって明確に差別が禁止されていることが国民の意識にも影響していると思います。