ゲイカップルが“代理母出産”で子どもを授かるまで「昔は結婚願望もなかった」
同性婚であり、国際結婚をどう捉えた
みっつん:僕の出身は愛知県の名古屋なんですけど、25歳のときに上京しました。東京ではゲイの人たちと知り合う機会も恵まれ、自分で自分を認められるようになりました。名古屋にいたときは自分みたいな人はいなかったけど、東京にはゲイの人がたくさんいましたからね。
実は両親にカミングアウトしたのは、リカと一緒にロンドンに移住するタイミングでした。それが30歳のときでした。兄弟には事前に伝えていて、リカのことも紹介していました。カミングアウトしたとき、両親はパニックに陥ったけど、兄弟が上手くフォローしてくれました。その後は実家にリカや息子くんを連れていくなど、いさかいやしこりは一切残らず今にいたっています。
――2人は同性婚であり国際結婚ということになります。そのあたりはどのように捉えていますか?
みっつん:海外では同性婚が認められていることは知っていました。でも、最初に言ったように結婚願望はなくて、ましてや海外に移住してまで結婚したいとは思っていませんでした。
結婚するまでの付き合っていた3年間で、リカは「自分のキャリアを考えると、日本以外の別の国でも働いてみたい」ということをよく口にしていました。僕としても、いつか彼は日本を出ていく人だから、いずれ別れが訪れるだろうという予感もあったんですよね。でも、これに関しては彼の人生だから仕方ないなと。
海外生活に必要だった英語の準備
みっつん:ロンドンに転勤するタイミングで「一緒に行こう」と言ってくれたのが大きいですよね。直接的なプロポーズではなくても、一緒に海外で暮らそう、一生のパートナーでいたいという気持ちを伝えてくれたわけですから。
一緒にいたら楽しいと思える人と今を大切に生きていること、そのための方法として急に目の前に結婚という選択肢が現れた気がします。同性婚や国際結婚がどうというイメージはなくて、自然の成り行きでそうなったのかなと。
――海外で暮らすとなると、何かと苦労もあったのでは?
みっつん:20歳の頃、留学のようなかたちで、アメリカに約半年暮らしていた時期があります。当時は英語がまったくで、やっとしゃべられるようになったくらいで日本に帰らなきゃいけなかった。それから上京してリカと付き合い始めたころに外国人の友達との交流がありました。それが海外に移住する上での準備期間になった気がします。
実際、海外に移住してみると、イギリスもスウェーデンも言葉の壁が大きかった。あとは考え方も、国はもちろん街単位でも違うので理解するのは難しいですよ。でも新しい言葉を取得して、新しい人たちや、新しい考え方に出会うことができたのはよかったと思います。今の僕の人格が形成されたのはそういう経験が糧になっています。