「植物肉バーガー」は本当に美味しいのか。バーガーキング開発担当を直撃
商品完成へのこだわりと直火の秘訣
荒川氏が「美味しさ」と並べてあげたもうひとつのポイントがある。それが「直火焼き」。バーガーキングのワッパーは、ブロイラーと呼ばれる専門の調理器具を使用して直火焼きで仕上げている。ブロイラーを通過する間に余計な油が滴り落ちていくので、鉄板で焼くのとはまた違った美味しさが生まれる。
しかし、プラントベースワッパーは素材が肉ではなく大豆なので、当然これまでの商品とは勝手が違ったという。
「柔らかい素材だと、直火焼きの途中でくずれてしまいます。また、油分が多すぎると焦げすぎてしまうこともあります。直火焼きでかつ、美味しいワッパーをつくる。この調整も商品開発をする上で重要な点でした」(荒川氏)
仮に、直火焼き以外の方法だったらもっと早くに商品化できていたかもしれない。しかし、「直火焼き」以外の方法による調理は考えなかったそうだ。バーガーキングのワッパーであれば直火焼き、バーガーキングの美味しさを支える土台の上にプラントベースワッパーもしっかりと乗っている。
今後ハンバーガー業界の動向は
これまでに期間限定で発売されて、その後は商品として定着しなかったハンバーガーは数多くある。代替肉を扱ったバーガーも同様の一過性のブームなのだろうか。
「ビーフ・チキン・ポークがあるというのが普通のハンバーガー屋さんです。代替肉をそこに加わる新しいチョイスにしたいです。需要も増えてきていることもあって、ゆくゆくはバーガーメニューのうちミート系が80%、代替肉が20%というレベルまでいける自信はあります」(野村氏、以下同)
代替肉バーガーを選択肢のひとつとして定着していく可能性までを視野に入れている。そのレベルにまで定着させるために重要なのはやはり味だという。
「味で勝負しないと一過性で終わってしまう可能性もあるでしょう。ただ美味しければ長く食べてもらえて定着するものとなります。バーガーキングとしては単発で終わるものにはしないと考えています」
プラントベースが新たなチョイスに
そして、より美味しく進化した植物肉バーガーも今後開発されていく予定だという。
「代替肉の質は市場の需要増とともにどんどん良くなっていきます。各社メーカーさんの商品開発もますます進みます。バーガーキングは美味しいプラントベース商品を発売していくことでこの市場拡大に貢献していきたいと考えております。
今もなお、さらに完成度の高いプラントベース商品の開発を積極的に進めております。バーガーの美味しさを追求した直火焼きビーフ同様にプラントベースが新たなチョイスとして定着する日のために頑張っていきたいと思います」
バーガーキングを筆頭に各社の植物肉バーガーがどう美味しく進化していくのか。2021年は、要注目だ。
<取材・文・撮影/菅谷圭祐>