立ち食いそばチェーン4店の「テイクアウト年越しそば」食べ比べ。1番本格的だったのは
4)名代 富士そば「店使用のそばとつゆを自宅で」
最後に紹介するのは「名代 富士そば」。創業は1966年、首都圏を中心におよそ120店舗を展開しており、「小諸そば」や「ゆで太郎」と並ぶ3大立ち食いそばチェーンに数えられています。都心の駅前立地に店舗が集中しているため、オフィス街や繁華街で目にしている人も多いことでしょう。
生そばの使用や24時間営業など、今でこそ珍しくなくなった立ち食いそば店のスタイルをいち早く取り入れたことでも知られています。また、メニューづくりを店長やエリアマネージャーに一任しているのも特徴のひとつ。ときおり登場する店舗限定の珍メニューがメディアやSNSを騒がせます。
2015年からはじまった年越しそばのテイクアウトですが、今年は北千住東口店だけの提供になります。今年11月に富士そばのカップ麺が販売されたことも関係しているのでしょうか。
そばとめんつゆは一人前(200円)から購入が可能。単身世帯には嬉しいですね。「お店の味をそのままに」との思いから、そばとめんつゆは実際にお店で提供しているものをパッキング。温めるだけで使えるつゆは、他のチェーン店ではあまり見ない試みです。
前述した経営方針から自由奔放にも見える富士そばですが、素材へのこだわりも忘れていません。つゆは焼津のかつお節から出汁をとり、小豆島産の醤油を使用。かえしが効いた黒いつゆは「ザ・富士そば」といった味わいです。
そばの断面は扁平気味でやや太め。喉越しも上々ですすりがいがあります。食べごたえ充分で価格以上の満足感があります。
=====
さて、今回は立ち食いそばチェーン4店の年越しそばを食べ比べました。正直なところ、どれも甲乙つけがたい……。再現度の高さなら富士そばですが、ゆで太郎も負けていない。小諸そばの出汁パックに驚かされ、箱根そばの充実した薬味に心躍った瞬間も忘れられません。
このような多様に展開する立ち食いそばの奥深さを再認識できたことが最大の収穫です。読者の皆様も大晦日は食べ比べにチャレンジしてはいかがでしょうか? 新たな味覚の扉が開きますよ。
<TEXT/富士そばライター 名嘉山直哉>