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髭男、あいみょん人気を生んだSpotifyが次に狙う“音声コンテンツ”

ビジネス

「ポッドキャスト・クリエイター」をデータでサポート

スポティファイ

Spotify限定のコンテンツとして配信する「ロバートpresents聴くコント番組~秋山第一ビルヂング~」。本格的なコメディのオリジナル・ポッドキャスト番組は国内初という

「アメリカでは車中心のライフスタイルなので、音声コンテンツを聴くのが比較的日常的になっていました。一方、日本ではポッドキャストを聴く習慣はまだそこまで浸透していなかった。そこで昨年、まずはSpotifyを利用する音楽ファンに喜んでもらえるような音楽寄りのオリジナル番組の制作から始めました。

 そのひとつは『POP LIFE: The Podcast』という、音楽評論家の田中宗一郎さんとタレントの三原勇希さんにゲストと共にポップカルチャーをひたすら語ってもらう番組だったんですが(笑)、コアなリスナーが徐々に増えてきて今ではリピート率が高い番組になっています。また、ソーシャルメディアや動画投稿サイトなどで活躍するkemioさんの番組『kemioの耳そうじクラブ』や人気お笑いトリオのロバートさんの『ロバートpresents聴くコント番組~秋山第一ビルヂング~』なども人気を博している番組です」

 そのほか、Spotifyオリジナル番組ではないものの、歴史を面白く学べる「COTEN RADIO」やアジアカルチャーに特化した内容を語る「好玩電台(ハオワンデンタイ)」など、実に多彩なジャンルのポッドキャストが揃っている。

まずは毎日ポッドキャストを聴いてもらえるよう、ユーザー体験の向上に努めるのが大切だと思っています。また、音楽と同様にポッドキャスト配信者向けのデータ分析ツール『Spotify for Podcasters』を無償で提供したり、ポッドキャストの録音・配信をスマホで簡単に行えるアプリ『Anchor』と連携していたりとポッドキャスターの番組製作支援しています。人気音声コンテンツを制作するクリエイターが生まれるような土壌も作っていければと考えています」

日本の音楽カルチャーを世界へ発信したい

スポティファイ

11月に開催された「TOKYO SUPER HITS LIVE 2020」。嵐、Perfume、End of the World、[Alexandros] 、ビッケブランカ、Vaundy、マカロニえんぴつの計7組が出演 (c) THINGS.

 最後にSpotifyの今後の展望について芦澤氏は「日本の音楽カルチャーを世界に向けて発信し、海外のリスナーが日本の音楽やアーティストに触れる機会を広げたい」と述べ、次のように説明した。

コロナでリアルイベントができないなか、アーティストには『世界に向けてパフォーマンスする機会』を、海外のリスナーには『日本の音楽シーンを知るきっかけ』を創りたいと思い、『Tokyo Super Hits Live 2020』(11月26日開催)を企画・制作しました。アメリカやオーストラリア、シンガポールなど世界12か国・地域にストリーミングによるオンラインライブを届けることで、日本の今のミュージックカルチャーを届けられればと考えています」

 嵐やPerfume、[Alexandros]などビッグアーティストが連なるが、ブッキングに関しては「日本の音楽シーンを牽引するアーティストや今勢いに乗るアーティストなどジャンルレスに選出した」という。

「例えば音楽ストリーミング配信サービスが台頭して以来、これまで主に特定の地域で聴かれていたラテンミュージックやK-POPといった音楽は全世界で聴かれるメインストリームな音楽ジャンルになった。クロスボーダーでジャンルの垣根なく音楽を楽しむリスナーが増えたので、J-POPやJ-ROCKといった括りでアーティストを選出するというよりも、日本のポップシーンを彩るフラッグシッププレイリスト『Tokyo Super Hits』の傘の下、注目のアーティストや日本の音楽カルチャーのいまを伝えるイベントにしたかった

 コロナ禍でステイホームが推奨されるなか、音楽ストリーミング配信やポッドキャスト番組はこれからさらに増えてくるだろう。Spotifyは今後どのような独自のコンテンツを作っていくのか注目したい。

<取材・文/古田島大介>

1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、旅行、イベント、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている

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