職場での「コロナ予防」レスキューナースが教える、呼吸から通勤術まで
全国で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。11月下旬から都市部を中心に新規感染者が急増し、12月10日には東京都で過去最多となる602人が感染、7日には名古屋市で新型コロナウイルス重傷者を受け入れる病床が実質的に「満床」の状態となった。
新型コロナウイルスの現状、そしていま私たちが実践すべき感染対策はどのようなものがあるのか。今回、『レスキューナースが教える 新型コロナ×防災マニュアル』(扶桑社)の著者であり、国際災害レスキューナースの辻直美さんにインタビューを敢行。医療現場の最前線に立つ、感染症対策のプロとしての意見を聞いた。
感染拡大の原因は「慣れ」にある
――新型コロナウイルスの感染者数が急拡大しています。辻さんから見て、考えられる原因はどのようなものでしょうか。
辻直美(以下、辻):新型コロナウイルスはウイルス性の風邪の一種なので、風邪と同じような動きをします。
冬場に入り、気温が下がって乾燥することで、ウイルスが活発化しやすい条件が揃いました。また、新型コロナウイルスには無症状感染者が多いため、感染者が知らないうちに人に撒き散らしていることも考えられます。
感染対策への慣れも原因のひとつでしょう。最近は外出しても、建物の入り口に置いてあるアルコールスプレーを使わない人が目立ちます。感染初期はメディアが芸能人の感染や1日あたりの感染者数を頻繁に取り上げていたため危機感を共有できていました。
しかし、長期化する中で慢心する人が増えたのではないでしょうか。
感染予防には鼻呼吸が効果的
――新型コロナウイルスの感染状況はこれからどう変化するのでしょうか。
辻:新型コロナウイルスは、地域や気候などの条件に敏感に反応し、変化・変異しやすいという特徴があります。今後、さらに強い感染力を持つ「新・日本型」の変異ウイルスが生まれたら、感染状況がより深刻になるのではと懸念しています。
――感染が再拡大する中、職場に出て働かなくてはならないビジネスマンも大勢います。このような人々が実践できる感染対策を教えてください。
辻:まず、ウイルス対策の基本は物にふれた手で顔をさわらないことです。ウイルスが付着した物を手に取っても、保菌しているだけで身体の中には入りません。しかし、この手で目・耳・鼻・口を触ると、ウイルスが体内に入り感染してしまいます。
また、感染予防には鼻呼吸が効果的です。新型コロナウイルスは喉の奥にたまると言われています。口呼吸は、直接、喉や気管にウイルスが付着しやすい状態なので危険です。鼻呼吸は鼻毛がフィルターの役割を果たすので感染リスクを抑えることができます。