中国への圧力は?トランプ氏とバイデン新大統領「対中政策」の差
中国が築いた経済圏にヒビが?
そのようななか中国の王毅外相は11月下旬に日本と韓国を突然訪問し、菅総理や文在寅大統領と会談を行い、政治経済の両分野で日韓と関係を緊密化させていくことで一致した。日本との会談については、中国側から打診があったという。
日韓では新型コロナウイルスの第3波が訪れるなか、王毅外相が日韓を急遽訪問した背景には、バイデン政権による多国間圧力への警戒感がある。中国としては、発足する前に周辺各国との関係を維持することで、対中包囲網を崩したい狙いがある。
中国からすると、トランプ政権の貿易関税は懲罰的だったかもしれないが、一帯一路構想に基づいてアジアやアフリカ、欧州など各国との二国間関係を構築ができた。
しかし、国際協調路線を重視するバイデン政権になると、貿易戦争は免れることになろうが、中国が独自に築いてきた経済圏(パキスタンやミャンマー、ラオスなど多額の支援をしてきた国々との関係、AIIBや一帯一路)にヒビが生じてくる可能性がある。
現在、習政権は「経済圏の崩壊」を中長期的に警戒しており、何としても阻止すべくあらゆる対策、行動に出てくることだろう。
<TEXT/国際政治学者 イエール佐藤>
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