進化する特殊詐欺の手口10種類。カードや女性紹介も詐欺のツールに
事前に用意したものにすり替える
「こちらの封筒にお持ちのキャッシュカードと暗証番号を書いた紙を入れて、手続きが終了するまで厳重に家で保管しておいてください」
指示通り、家人は封筒にカードと暗証番号を書いた紙を入れて封をします。すると詐欺犯は確認するフリをして、封筒を受け取ります。
「それでは次に、この封の部分に割り印を押してください。印鑑はありますか?」
家人が印鑑を取りにその場を離れた隙に、事前に用意していたトランプやダミーのカードの入った別の封筒にすり替えてしまうのです。
現金を騙し取る件数を上回る被害が
しかし家人はそれを知りませんので、戻ってきて封の部分に印鑑を押して、偽の封筒をずっと家で保管しておくことになります。その間に犯人らは、手に入れたキャッシュカードでATMからお金を引き出します。特殊詐欺では、これを「キャッシュカード詐欺盗」と呼びます。
またカードを騙しとる手口には、もうひとつ「預貯金詐欺」というものもあります。昨年多く発生した「令和への改元になりましたので、これまでのお持ちの平成の古いキャッシュカードは使えませんので、交換しなければなりません」と嘘をついて、カードを持って行く手口がまさに当てはまります。
現在の特殊詐欺は、先に紹介した8つに加えてキャッシュカード詐欺盗、預貯金詐欺を加えて10の類型になっています。
令和元年の特殊詐欺の認知件数は16851件ですが、そのうち、キャッシュカード詐欺盗と預貯金詐欺を合わせると、特殊詐欺全体の認知件数の54.2%となり、現金を騙しとる手口よりも多くなっています。