『鬼滅の刃』ブームの背景に「細やかな創意工夫」アニメ評論家に聞く
公開から1か月も経たないうちに興行収入あっさり200億円超え、2020年を象徴する社会現象となっている『鬼滅の刃』(週刊少年ジャンプ)。連載開始から4年、昨年のアニメ化などを経て醸成されたブームは衰え知らず。漫画版完結を迎えて以降も企業とのコラボ企画やグッズ展開が花盛りだ。
2019年の新刊『わたしの声優道』や『ぼくらがアニメを見る理由』などがあり、インタビュー、レビュー・解説、ブックレット・パンフレットの構成なども行うアニメ評論家・藤津亮太氏に、なぜ『鬼滅の刃』はここまでのブームになったのかを聞いた。
残酷な描写が多いという声については
『鬼滅の刃』はネット上などでは否定的な意見も目立っていた印象もある。確かにいち覇権アニメとしてならまだしも、ここまでの社会現象を引き起こしている理由については少し気になるところはある。
ファンの反感を買いたくないし、かく言う私もノベライズまで読むくらいに大好きな作品だが、世代や趣味などを超えて人気を博するにはストーリー展開や設定なども少々シンプルでわかりやすぎる作品では?
「個人的には賛否がわかれるというほど“否”が多いとは思いません。どんな作品にも一定数、否定的な意見は出ますので。残酷な描写が多いという声もありますが、大ヒットで週刊少年誌が想定している読者よりも、低年齢層にまで作品の存在が知られ人気が出た結果でしょう。週刊少年誌の主たる読者は小学校中学年以上なので、作品が想定している観客・読者とのミスマッチが起きているからではないかと考えられます」(藤津亮太氏、以下同)
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