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県外の客はお断りの観光地。東北を訪れた25歳に罪悪感が…

暮らし

駅ビルの土産屋が19時閉店

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 罪悪感を覚えつつ、午後も予定のプランを消化した内田さん。2日目は同じ県内にある別の観光地を訪れたものの、ここでは観光客を拒絶する動きは見られなかったそう。

「2日目は初日よりも大きな観光地をめぐったためか、むしろ歓迎ムードを感じました。観光地としてのにぎわいもあって、こんなことは言いたくないんですけど『栄えた観光地とさびれた観光地の差』を見せつけられましたね」

 こうして2日目の観光を満喫したのち、内田さんは夕食を済ませて夜行バスで東京へ戻ろうとしていました。

「県内有数の大きな駅発だったので、駅ビルで家族のためにお土産を選ぼうと思っていました。ところが、普段は20時半まで営業している駅ビルのお土産エリアはなんと時短営業で19時閉店。駅に着いたのが19時数分前だったので、お土産は断念しました」

受け入れるのか、そうでないのか

 駅ビルで買うお土産は、たいてい夕食などを済ませてから最後に買うもの。「この閉店時間は、もう駅ビルでお土産を買わせる気はないんだな」と内田さんが語ったのも納得。コロナ禍での観光地の対応は「観光客を受け入れたいのか、そうでないのか」がハッキリしません。

「国や鉄道会社は『旅行してくれ』と言わんばかりの支援策を打つし、観光地も場所によっては受け入れに前向きなのも確か。一方、そうでない場所も少なくなく、さらに同じ地域でも店や施設によって歓迎度合いに差があります。正直、『歓迎されるかは、観光地に行ってみるまで分からない』という感じですね」

 観光地にとって、観光客を受け入れるか否かは死活問題。それでも、店のオーナーが経営方針として「部外者お断り」を打ち出せば、それに抵抗することはできません。

「せっかくの旅行で悲しい思いをするのは、なんともやり切れません。たとえコロナ禍とはいえこういう体験をしてしまうと、やはりその観光地に対する印象は悪くなってしまいました。コロナが収束しても、もう二度と行くことはないと思います

 今回失った観光客は、表面上たった一人。しかし、内田さんが周囲の人にこのエピソードを語れば、店単体だけでなく観光地のイメージも失墜します。過剰な感染対策を責めるのは難しいですが、失うものも多い対応なのは間違いありません。

<取材・文/齊藤颯人 イラスト/田山佳澄>

上智大学出身の新卒フリーライター・サイト運営者。専攻の歴史系記事を中心に、スポーツ・旅・若手フリーランス論などの分野で執筆中。Twitter:@tojin_0115

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