サイバーエージェント傘下になったプロレス団体社長に聞く、経営の極意
新型コロナウイルスの影響でエンタメ業界は大ダメージを受けている。東京都は大規模イベントの人数制限を9月19日から緩和することを発表したが、屋内で大声の歓声等が想定されるイベントについては、あくまでも収容人数の「50%」。そんな状況下で、9月1日サイバーエージェント傘下のDDTプロレスリング(以下、DDT)と、プロレスリング・ノア(以下、NOAH)、そしてDDTフーズが経営統合し「株式会社CyberFight」となった。
100年に一度とも言われる危機の中、代表取締役として重要な舵取り役を任された高木三四郎社長に話を聞いた。
サイバーエージェント傘下になった経緯
――9月1日に「CyberFight」が始動し、代表取締役社長に就任しました。2017年にはサイバーエージェント傘下になったわけですが、まずはその経緯からお願いします。
高木三四郎(以下、高木):2017年3月にさいたまスーパーアリーナのメインアリーナで興行を打ちました。想定では「これぐらい入るだろう」と予想していた人数に対して、実数がその3分の2ぐらいで「このままでは難しいな」と悲観的になってしまいました。
「今後、集客数を上げて新日本プロレスに対抗するには、どうすればいいのか」を考えたとき、上場企業のグループに入るしかないと考えたんです。そんな折に、たまたまサイバーエージェントの藤田晋社長とマンツーマンで会食する機会がありました。
現状をお話しした上で、スマホ片手に試合映像を観てもらい、コンテンツとしての魅力をプレゼン。サイバーの傘下に入りたいことも話しました。熱意が伝わったのか興味を持ってくれて、グループに入ることができました。
サイバー傘下になって一番の変化
――サイバーエージェントに入って一番の変化はなんですか?
高木:プロレスは良くも悪くも一座です。例えるならば「アントニオ猪木一座」「ジャイアント馬場一座」という形。しかし座長がいなくなると、その団体自体が終わってしまうわけで。
僕は「プロレスは観続けるジャンル」だと思っています。引き継がなくちゃいけないし、受け継いでいかなければならない。DDTも組織として継続するために変革が必要だと感じていました。
根本から変えていくのは時間が掛かりましたが、労働環境など世間的にはグレーだった部分をクリーンにできたことが一番の変化ではないでしょうか。