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『カネ恋』松岡茉優の“15年の片想い”は浪費か、投資か

暮らし

「ありがとう、お試しヘッドマッサージ15分。ありがとう、980円」

 朗らかな表情で、享受したものに対してこう言葉を放つ。そうやって、自分がお金を使ったものすべてに感謝し、身の丈にあった清い生き方を志向すること。『おカネの切れ目が恋のはじまり』(TBSドラマ/火曜22時〜)の主人公・九鬼玲子(松岡茉優)は、“清貧”と言われるそうした生き方こそが幸せであると信じてやまない人だ

カネ恋

TBSテレビ「火曜ドラマ『おカネの切れ目が恋のはじまり』」 ※公式サイトより

 小学6年生のときに出会って以来、15年間一途に片想いし続けている早乙女健(三浦翔平)にも、決して思いを伝えることはない。遠くから見て愛でていられればそれでいい。しかし、第2話では猿渡慶太(三浦春馬)の介入によって玲子と早乙女が急接近することになる。果たして、片想いの相手への告白は株への投資のように単純なものなのか。

「カネ恋」第2話が扱ったテーマ

 第1話のラストで明らかになった、お金づかいに厳しい玲子が早乙女を相手にすると散財してしまう姿。その“恋のほころび”に気づいた慶太は玲子を問い詰めるのだけど、それを“貢いでいる”とは決して認めようとしない。ではいったいなんなのか。お金の使い方を慶太に教える玲子はこう言う。

「お金の使い方は3つ。消費、浪費、投資です。お金を使うごとに3つのどれに当てはまるかを分類して、浪費を減らす。それがあなたのやるべきことです」

 あれだけ質素な生活に勤しんでいる玲子が早乙女に対してお金をたくさん使ってしまうのは、それじゃあ“投資”なのか、それとも“浪費”なのか……。好きな人に対しての玲子のようなスタンスは“推し”に対してのそれととても近いと思うのだけど、それをこの3つの概念のどれかだと言い表されてしまうと、ちょっと困ってしまうかもしれない。その玲子へと刺さるブーメランが、非常に愛おしい場面でもある。

お金の使い方から「投資」を描いた

 第2話は、ずばりこの3つのなかの「投資」について描かれた物語だった。

 主人公たちが勤める会社・モンキーパスでは、業績の赤字が続く「わくわくスポーツランド」の大規模リニューアルをするかどうかといった社長(草刈正雄)の逡巡が描かれ、そのほかにも、慶太の元カノであるまりあ(星蘭ひとみ)婚約相手・山鹿(梶裕貴)との結婚に悩んでいたり、営業部の純(北村匠海)は将来、結婚するかもしれないからと身を削って彼女に投資したりする描写が続く。

「本当にこの人と一緒にいて幸せになれるのか」という恋の悩みは、「投資すればお金が増えるのか」というお金にまつわる話にもわかりやすくつながるだろう。しかし、実際に本作が伝えようとしているのは「目に見えるお金よりも重要なものがあるのではないか」ということのようにも思える。玲子が早乙女を想う気持ちには、“貢ぎ”だけに回収されない複雑さがあるはずだったから。

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