ダンロップ、冬用タイヤ開発の裏側「かかった時間は夏用の3倍」
意見をぶつけ合いブラッシュアップ
開発においては真剣勝負。時にはぶつかり合うこともあったそうだ。タイヤ性能評価担当・西村圭司氏曰く、北山氏の所属する営業企画部門とは「よく揉めた」そうだ。
「開発目標を決めるときは特にそうです。『氷上性能を〇〇%上げてくれ』みたいな高い要求が出てくるので、『他の性能は落ちるけど良いのか』と。あと『むしろ他の性能を良くしたほうが売れるし、お客様のためになるんじゃないか』とも言います。ただ、お互いに明確な正論があってぶつかったらただのケンカになりますけど、どちらも正しい答えを知っているわけではないので一緒に考えるしかないんですよね」(西村氏)
夏タイヤの2〜3倍は時間がかかった
北山氏は「普通の夏タイヤの開発と比べると、開発目標を決めるまで2〜3倍は時間がかかったんじゃないか」と語る。
「ものすごく打ち合わせもしました。電話とかテレビ会議とかでできればいいなっていうのもあるんですけど、煮詰まってくるとやっぱりface-to-faceっていうところが結構大事ですよね。開発当初は神戸に出張して膝を突き合わせて話をしてました。無茶ぶりだなと感じつつも、お客様のニーズが1番高いのが氷上性能なんで『そこは伸ばしてくれ、でも背反となる性能はできるだけキープで』とか(笑)」(北山氏)
「評価ドライバーとの衝突も結構ありますよ。門番みたいなもんなんですよ。彼らが『うん』と言ってくれないと僕らも進めないところがあるので。一方で、僕らも納期に追われているなかで、『最終的な仕上りとして、これで良いんですか。もうちょっと粘ってでも、もうちょっとやれることをやりませんか』といった衝突をするのは日常茶飯事です」(中島氏)