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うなぎ屋で「松竹梅」の「竹」を選んでしまう心理効果

学び

「S・M・L」の価格設定が好まれるワケ

 こういった真ん中を選ぶ人間心理を、行動経済学では「極端の回避性」と言われますが、面白いのはその選択分布です。実はこういった場面では、「2:5:3」の比率で選択肢が下されます。つまり、10人がうなぎ屋さんで注文した場合、

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梅:1,500円 2人
竹:2,000円 5人
松:3,000円 3人
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 という分布になるのです。なんとなく納得しませんか? ここからはもう少し数字にフォーカスして突っ込んでいきますが、数字が苦手な方は、結論だけ押さえてください。「竹:2,000円」しかなかった場合、10人で、売上げは「20,000円」です。しかし、梅竹松の3パターンがあると、10人が次のように分布されます。

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梅:1,500円 2人 → 3,000円
竹:2,000円 5人 → 10,000円
松:3,000円 3人 → 9,000円
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 つまり、合計22,000円。……ということは! 複数の価格帯を用意するだけで、売上げが、20,000円 → 22,000円 ── 110%になるということです。スゴくないですか? 努力しなくても簡単に売上げが上がるので、多くの販売で「梅・竹・松」や「S・M・L」などの価格設定がされています。

効果的な3つの「価格設定」比率

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 先ほどの3つの価格設定にも、法則があります。

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梅:1,500円
竹:2,000円
松:3,000円
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 真ん中の竹が一番売れるようになる、効果的な3つの価格設定は、<3:4:6>の比率とされています。上記の例もそうなっています。真ん中価格を、4,000円に設定したら、その前後で3,000円と6,000円の価格帯を用意する、ということです。簡単ですよね。

「じゃぁ、もっとたくさんの価格帯を用意したら……ムフフ」と、思われた応用力の高いあなた。実は、それは、NGです! 人間が選択処理できる選択数は、基本的は3つ。多くても4つです。どんなに頭のいい人でも、6つまでと言われています。その許容数を超えると、新しい選択肢が生まれてきます。

「選択しない」という世にも恐ろしい選択肢です。ですので、複数の価格帯やプランを用意するときには、できれば3つまで設定しましょう。多くても、4つにすることをお勧めします。あなたの商品やサービスで、この「価格戦略」を取り入れるとしたら、どんなアイデアがありますか?

 文章で結果を出すことに行き詰まったときに、こういった効果的な別の施策で結果を出すことで、文章アイデアが浮かぶこともがよくあります。ぜひ、息抜き感覚で試してみてください。

<TEXT/中野巧>

共感を科学する「エンパシーデザイン・ラボ」主宰。株式会社studio‐K代表取締役。ビジネスにおいて「共感力」を磨くことが、文章力、マーケティング力、コミュニケーション力、企画力など、プロフェッショナルの仕事力を高めるという考えから、「共感」と「再現性」をテーマにした文章作成法「エンパシーライティング」を開発。近著『稼ぐ人の「超速」文章術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など

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