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東京ばな奈、なぜ「東京」なのに「バナナ」?コロナ禍で新たな挑戦も

ビジネス

「東京ばな奈」ネーミングの秘密

 誰もが懐かしくて、郷愁じみたものを感じる食材。それこそがバナナであり、そこに着目して東京ばな奈の開発に取り組んだわけである。しかし、東京という“地名”とバナナという“食材”だけだと心に残らない。

 そこで、大野氏は「ネーミングやパッケージにも工夫を凝らした」と話す。

「東京ばな奈というネーミングは、東京のおしゃれな女の子をイメージしているんです。女の子の名前を模しているので、“ばな奈”というネーミングにしているんですね。また、バナナにリボンをつけて、キャラクター立ちするようにデザインも意識しています。

 ただ、目と鼻をつけると完全なキャラクターで子供っぽくなる。老若男女問わず愛される東京ばな奈というスイーツが前面に出るように工夫しました。さらに、『見ぃつけたっ』という文字は、かくれんぼをイメージしていて、普段は忘れているけれど、心の内に隠れている味という意味合いも込めています」

 こうした随所に考え抜かれたアイディアを散りばめて誕生したのが東京ばな奈であり、1992年に羽田空港で販売したことを皮切りに、同年末には東京駅のキヨスクにて販売を開始。以来、東京土産の定番として30年間愛され続けてきたのである。

「常に新しい商品を出す」が戦略

東京ばな奈

東京ばな奈型の薄焼きラングドシャクッキー「東京ばな奈クッキーサンド しかも、チョコはみ出してる」

 東京ばな奈は、バナナカスタードクリームをスポンジケーキで包んだ定番商品以外にも、次々と新しい商品ラインナップを出し続けている。商品開発をする理由について、大野氏は「伝統を守りつつ、常に新しい商品を出すのが戦略」と語る。

「発売当時の味や美味しさを守るのはとても大事なこと。定番品は変わらない一方で、時代とともに消費者のニーズはどんどん変化する。東京ばな奈にも新たな風を吹き込むことで常に新鮮さや真新しさを出すよう心がけています。スポンジケーキだけでなく、クッキーやパイなど、他のスイーツジャンルでもラインナップを広げていき、これまで出した商品は100種類以上に上りますね」

 ラインナップが増えれば、それだけスイーツを選ぶ際の選択肢も広がり、消費者にいつまでも忘れられないブランドになるだろう。東京ばな奈も、定番に頼ることなく常に新商品を展開し続けることで、多様化する消費者ニーズに応えてきたわけだ。

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