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東京ばな奈、なぜ「東京」なのに「バナナ」?コロナ禍で新たな挑戦も

ビジネス

 大都市圏の主要ターミナル駅や空港など、出張先や旅行先で手土産を買うとき、東京みやげの定番として不動の地位を築いているのが「東京ばな奈 見ぃつけたっ」だ。

東京ばな奈

株式会社グレープストーンで広報PRを担当する大野由貴子氏

 ふわふわスポンジケーキでバナナカスタードクリームを包んだ「東京ばな奈」は、1991年に発売されて以来、30年に渡って愛されてきたスイーツギフトである。その製造・販売を手がける株式会社グレープストーンで広報PRを担当する大野由貴子氏に、誕生の背景や世代を超えて愛される理由について話を聞いた。

東京ばな奈は運を味方にして生まれた?

 まず、東京ばな奈が生まれた背景や東京が生産地ではないバナナを選んだ理由について大野氏に尋ねた。

「もともとは洋菓子を作る会社で、百貨店で洋菓子販売をしたり、皿盛りデザートを出すレストラン経営をしたりしていました。東京ばな奈の開発に着手したのは1989年。

 当時はバブル真っ只中でティラミスやクレーム・ブリュレといった高級志向のスイーツが一般的でしたが、もっと気軽に、老若男女問わず誰にでも喜ばれるギフトスイーツを作りたかった

 こうした思いを持っていた矢先に、東京土産の主戦場である羽田空港から運よく出店の依頼があったのだという。

「東京の空の玄関口である羽田空港は、出張や旅行などで多くの消費者が訪れる絶好の場所。これはまたとないチャンスだと思い、東京を象徴するような東京土産を作るきっかけになりました。ただ、東京という都市にはこれといった地場産品がなく、どんな食材を使ったスイーツにすればいいか非常に頭を悩ませましたね……」

地場産品ではない「バナナ」の理由

東京ばな奈

「東京ばな奈 見ぃつけたっ」

 全国から人が集まってくるビジネスタウンであり、ある種日本の縮図とも言える東京。地場産品がない中、様々なバックボーンを持った人が東京に集うことから「誰もが懐かしく思える食材」を考えたときに思いついたのが“バナナ”だった。

「当時の40~50代以上の人にとって、バナナは高級で憧れの食材でした。また一方で、若者にとっては身近なものとして親しまれていた。バナナをスイーツの食材に使えば、老若男女問わずに親しみを持ってもらえると思ったのです。

 また、当時はバナナを使ったお菓子があまり世に出ていなく、香料をたくさん入れてバナナの味を再現したものが一般的だった。本物のバナナを食材として使い、美味しいスイーツを作りたかったのです」

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