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村上虹郎「日本で芸術は圧倒的に弱者」コロナ禍で抱いた危機感

暮らし

ほんの1つのことで意識が変わる

ソワレ

――ちなみに、何をして過ごしていたのか教えてください。

村上:海外ドラマを見て、ゲームばっかりしてました。本当は戯曲とかを読みたいなと思ったんですけど、活字は一切読めなかったですね(笑)。あとは、映画も1本も見れませんでした。

――映画を見れなかったのはなぜですか?

村上:映画にもいろいろと幅はありますけど、ドラマとは見るときの“労力”が違うと感じているからです。どんなにクオリティが高くて、深いテーマを描いている作品でも、ドラマは見る側に伝えに来てくれているので、見やすいんですよ。でも、映画は説明度が違うので、1本見ただけでもかなり疲れることがありますから。

 もちろんそれは映画だけでなくて、1曲の音楽だったり、1つのツイートだったり、ほんの1つのことで意識が変わることってあると思いますが、そういう“気付き”が映画にはあると思っています。だから、見れなかったんでしょうね。

日本の偉い方々が芸術を必要としていない

――そういった経験をしたあと、現場に戻ってみて新たな思いが芽生えている部分もありますか? 

村上:ある社会学者の人が、コロナ禍の経済について話していた動画を見たんですが、いまの時代に苦しい人たちは、コロナのせいだけではなくて、もともと“基礎疾患”があったんだという話をされていました。

 まさに、映画にも“基礎疾患”があると思うんですよね。実際、なかなか食べていけない方が多いですから。僕たち俳優はたまたま顔を出しているほうではありますが、映画を作っているのは僕たちだけじゃないですし、改めてたくさんの大事なことに気付かされたような気がしています。

 あとは、日本の偉い方々が芸術やエンタメを必要としていないことは、もったいないなと思いました。

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