男の日焼け止め不要説が「百害あって一利なし」と断言できる理由
クリーム以外の日焼け止めの効果は
「日焼け止めは、女性が美容のために塗るもの」というのは大きな勘違いであることがわかった。しかし、男性は日焼け止めを塗る習慣がないため、塗れと言われても抵抗があるだろう。
「日焼け止めクリームを塗る習慣がない人は、飲む日焼け止めやスプレータイプを選んでしまうかもしれません。しかしどちらも問題があるのです。飲む日焼け止めは基本、効かないと考えてください。日焼け止めにはUV-Bを抑えるSPFと、UV-Aを抑えるPAという指標がありますが、塗るタイプの日焼け止めのSPFは30や50くらいです。しかし、飲む日焼け止めはSPFが2や3なので、ほとんど効果がありません。
またスプレータイプはすべて『吸収剤』なので、肌に吸収され、かぶれる恐れもあるので推奨しません。日焼け止めには『吸収剤』と『散乱剤』があるのですが、色が白い日焼け止めは散乱剤で、白くない日焼け止めは吸収剤です。散乱剤のほうが肌への影響なくつけられます」
結局、男性であっても日焼け止めクリームを塗る必要があるというわけだ。
柑橘類に含まれる成分に注意
「日焼け止めは、ただ塗るだけではなく、厚みがある塗り方でないと意味がなく、しかも塗り直しが必要になります。そのくらいしっかり塗らないと効果があるとは言えないのです。
日焼け止めを塗るのにどうしても抵抗があるなら、長そでを着る、帽子をかぶるべきでしょう。衣類は黒色なら90%は紫外線が吸収されます。ただ、熱がこもるので熱中症に注意しましょう」
また、食べるとかえって紫外線を吸収してしまう食べ物についても、しのぶ先生は注意喚起する。
「オレンジやグレープフルーツに含まれるソラニンには気をつけてください。これは肌が小麦色になるタンニングローションのような役割があります。ソラニンを摂取すると皮膚が紫外線を吸収する状態になってしまうため、外出前にこれらの柑橘類を食べないようにしましょう」
男性も日焼け止めを塗る必要があるのか? その答えは、皮膚科医によれば「100%YES」だった。このことを踏まえながら、自分に合った紫外線対策の方法を考えて実践しよう。
<取材・文/一ノ瀬聡子>
【蘇原 しのぶ】
医師。東海大学医学部卒業後、北里大学皮膚科、獨協大学皮膚科を経て、2016年にしのぶ皮膚科開業。皮膚科・皮膚外科歴17年。ヒアルロン酸、ボトックス治療に造詣が深い。オールアバウト美と健康のガイドでもあり、執筆、テレビ、ラジオ、などのメディア活動も精力的にこなしている。日本アンチエイジング外科・美容再生研究会認定医。