不動産マン「#全宅ツイ」に聞く「理不尽な上司の指示」どう対処する?
多くの国民の関心を集めた、日大アメフト部の「悪質タックル問題」。問題の背景には「独裁的な指導体制」があるという声も多く聞かれました。こうした問題はスポーツ界のみならず、ビジネスの現場でも起こり得るのではないでしょうか。
そこで、不動産業界に精通する「全国宅地建物ツイッタラー協会」(全宅ツイ)会員に、理不尽な業務指示の経験について聞いてみました。
連帯責任で深夜2時までポスティングすることに
「何から何まで理不尽だった」という、新卒時に配属された部署でのエピソードを語るのは札束くん(@fudousanyatan)さんです。
僕は30歳にもなって上司に忖度しないと意思決定できない仕事をするのが嫌なので会社に起こる全てのことは自己責任だと思ってる。ただ諸々のバランスを見ると僕が1人で稼ぐことが1番手っ取り早いし楽だけどこればかりは運命だ。
— 札束くん (@fudousanyatan) 2018年6月14日
「先輩が、ポスティングのチラシをコンビニのゴミ箱に捨ててたらしく、店からの通報でバレました。“連帯責任”として深夜2時までチームメンバー全員が毎日ポスティングを強制されることに。なんか変な一体感は生まれたけど、メチャメチャつらかったですね」
その後、運よく希望部署への異動が叶い離職率80%の部署から抜け出せたといいます。
「異動後は、『あぁ事務所内で普通に話せるんだ』とか、『21時前に帰れるんだ』と、ごく当たり前のことに感動してました」
深夜ポスティングに関して、ようすけ(@jounetu2sen)さんも自身の経験を振り返ります。
不動産仲介の仕事って、顧客を見つける事が何より大事で10あったら6から7くらいウエイトを占めてるんです。
でも、ほら、俺超追うし、なんなら紹介月5本来ちゃったから先月。顧客にはモテるから。
オフ会しても、恋愛の失敗談しか話してないだろwwww
( •̅_•̅ )— ようすけ (@jounetu2sen) 2018年6月15日
「現地販売のチラシを深夜4時までポスティングして、販売物件で仮眠して朝から現地営業とかしてました。有給、残業代、退職金が一切ない会社で、ミーティングでは罵詈雑言と吊るし上げが当たり前。当時を思い出すと、今でも体調が悪くなります」
その理不尽さは、「暴力が支配する20××年の世界のようだった」と語り、メンタルにも相当ダメージを負ったといいます。
業界の慣習「囲い込み」が心苦しい
同じく全宅ツイ会員のツーブロ君(@2blokun)さんは、業界の慣習である「囲い込み」が苦痛だったと語ります。「囲い込み」とは、売り主と買い主双方から仲介手数料を得る「両手」目当てで、物件の販売情報を他社から隠蔽する行為です。
仕事って思うから辛いんですよ。
部活だと思えば理不尽な上司も、機械みたいな事務も我慢出来るんです。
部活と違うところは3年後も理不尽に殴られ続けているところなんですけどね。— ツーブロ君 (@2blokun) 2018年6月10日
「他社からの問い合わせを、『弊社で1番手が入ってまして』『売主の都合で案内出来ません』と断ってました。売り主にとって機会損失となる不誠実な行為が、平然とまかり通ってました」
こうした問題行為は「今も業界に蔓延している」とツーブロ君さんは憂います。
嘘も方便? 数々のウソを駆使して成約ゲット
同じウソでも、買い主へウソをつく立場なのが、住宅営業マンのぷん太(@55openman)さんです。
新卒女子めっちゃかわいかったー。
「どうやって宅建勉強したんですか?私、FPも取りたいんです!」とか、もぉ~、ピュア!
汚れてしまった僕には触れられないので次の予定へ移動します。— ぷん太 (@55openman) 2018年6月13日
「入社してすぐ、お客さんにウソをつくことを教えられました。よくないとは、わかっていても『そういうものなんだな』と思うしかなかったです」
ぷん太さんは、住宅営業の現場で行われるウソの数々を、独自の例えを交えつつ解説します。
「まったく問い合わせのない不人気物件を『お客様、大変人気の物件です。引き合いが多くて、今日にも決まる可能性があります』とか普通に言ってます。これは年上お姉さまとの合コンで『え、JDかと思いました』的なリップサービスみたいなものです。
ほかには、申込が入ってない物件を『これはもう決まってる物件です』とも。“他人の女がイイ女に見える”心理ですよね。そこから、『お客様! たった今、キャンセルが入りました! チャンスです! 今なら買えます!』と、ワンチャン来たと思わせるコンボで伏線を回収します」
こうした営業マンのウソは、“共演者”の登場でヒートアップします。
「タイミングを見て上司が『今、決めていただけたら、大幅値引きさせていただきます』と切り出して、平社員が『えっ! マネージャー! そんなに引いて大丈夫ですか?』と、お笑い養成所でもお目にかかれない粗末なコントで魅了して、いつも決めています!」
劇場型とでも言うべき、三文芝居による営業活動。ある程度、営業上の演出は必要かもしれませんが、さすがにやりすぎでは。
「いや、最初はウソをつくことが怖かったし、後ろめたさもありました。でもすぐに抵抗はなくなりました。なぜかって、ウソをつくと売れるし、褒められるからですよ」
売上を上げて肯定される感覚に魅せられると、すぐに感覚は麻痺するといいます。
「今ではこれらの嘘を自在にあやつれるようになりました。これぞ“圧倒的成長”です。営業現場におけるウソは、いわばフォースの暗黒面みたいなものです」
ひとたびダークサイドに堕ちた人間が、ライトサイドへ戻る道は険しそうです。