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「二番底は当分こない」森永卓郎の息子がAIで読み解く、コロナ後の経済

コラム

スーパーで惣菜を買う生活者を見てみる

――ちなみにオルタナティブデータを使って5月の分析はされましたか。

森永:5月のPOSデータを触ってて、面白いなと思ったのが、お弁当と惣菜の売上と価格が上がってることです。なぜ上がったのかというと、スーパーのお惣菜やお弁当って誰がよく買うのか考えると、会社帰りの人たちなんです。

 帰って自炊するのが面倒くさい、じゃあスーパーで買って帰るかとなる。ステイホーム中はみんな家で自炊してたので、弁当惣菜の価格と売上は下がってたんです。それが5月になると会社に行き始める人が増えてきて、それとリンクするように売上が伸びてました。他には、自粛期間中は口紅、ファンデーションの価格が目に見えて落ちてたというのもあります。外に出ないし、出てもマスクで顔を隠すから需要が落ちた。

――オルタナティブデータに注目することでリアルタイムに近い経済動向が見えるのですね。

森永:金融経済の業界でメディアで発信している人って、高齢の方が多いと思いませんか? 私の父親も60歳を超えています。彼らからするとオルタナティブデータやビッグデータなんてよくわからない。「そんな世界にもう少し若い人が発信する機会が増えてもいいよね」というのが僕の中にあります。データドリブンなんだけど、スーパーの店長や、そこで惣菜を買う生活者とかにも取材しちゃう現場感覚も持ち合わせていれば、若かったとしてもハッキリと上の世代と議論できますから。

コロナバブルは起きていない

森永康平

森永康平『MMTが日本を救う』(宝島社新書)

――2020年7月現在、株価が回復していて実体経済と乖離していると指摘する人もいます。森永さんはどうご覧になりますか。

森永:ここ2~3か月の状況を「コロナバブル」と表現する人がいるけど、それは違うと思っています。バブルはもっと前から始まっているというのが僕の見方です。世界的に金融緩和をしまくっていてお金が余ってるのだから、そりゃ株上がるわという話です。この数年はずーっと上がっていて、たまたまコロナという未知の感染症が現れたので、みんな一旦売ろうと当然なります。

 そうこうしているうちに、感染しやすい状況や、死亡するのが基礎疾患がある人や老人に集中していることがわかってくると、3密を回避しながら経済活動していいよねとなって、それなら売った株も買い戻すか、となり本来の位置に戻った。つまり、コロナバブルではなくて、その前から続く金融緩和によるバブルが続いていて、コロナで一時的に落ち込んだ株価が元の路線に戻ったというのが僕の理解です。決してコロナ対策による財政出動でバブってるわけじゃない。

――ちなみに二番底は来ると考えますか?

森永:緩和が続いている限りは、二番底は来ないと考えます。当然株なので上下はするでしょうけど、基本は金融緩和による右肩上がりが続くのではないでしょうか。

 どちらかというと、この先に金融引き締めがあるとバブル相場がぶっ壊れてしまうと思います。これは僕の独自の理論ではなくて、過去に発生したバブルを学べば、必ず過剰な緩和からバブルが起きて、後追いで中央銀行が過剰な規制をしてオーバーキルして、バブルが弾けているのがわかります。ブームアンドバーストがバブルの歴史なので、今回もそうなる可能性があります。

<取材・文/栗林 篤 写真/林 紘輝>

森永康平
株式会社マネネCEO/経済アナリスト。証券会社や運用会社にてアナリスト、ストラテジストとして日本の中小型株式や新興国経済のリサーチ業務に従事。業務範囲は海外に広がり、インドネシア、台湾などアジア各国にて新規事業の立ち上げや法人設立を経験し、事業責任者やCEOを歴任。現在は複数のベンチャー企業のCOOやCFOも兼任している。新著『MMTが日本を救う』(宝島社新書)が好評発売中

元IT企業のサラリーマン。株主優待と家賃収入で細々と暮らすフリーライター。著書に『サラリーマンのままで副業1000万円』がある

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